ご紹介が少し遅れましたが、キノコ界では「味ならシメジ」と名の通るホンシメジを今日は登場させました。
わが集落ではオオヒメジ、あるいはネズミヒメジと呼ぶホンシメジ。発生が遅れた今年でしたが、さすがに10月も20日を過ぎれば村ではもう採り頃を過ぎようとしています。
オオヒメジの名があるように、条件のよい環境では手のひらをはるかに上回る大きさの株塊に出会えることもあります。今年は発生にあまり適さない天候だったのか、こちらの「採り場」ではごくわずかの数しか見られません。
それに比べて発生が豊かなのは次にご紹介の「サモダシ・サワモダシ」(ナラタケの仲間)。
「サモダシ」は、楽に山入りできる住家すぐ近くの里山から深山とあらゆる場所で見られ、しかも一箇所での発生量が多く、味噌汁(時に秋田の伝統食・納豆汁)を主にして多彩な料理に活用できます。なので、県南内陸ではキノコ採取の人々がもっとも多く足を向けるのがこの「サモダシ」。キノコのなかで食卓にあがる回数が多いのも「サモダシ」。村では、庶民人気ナンバーワンのキノコと言ってよい存在でしょう。
ナラタケの仲間は種がずいぶん多いのですが、我が家では、この種を大きく3つに分けて呼びます。
まず、もっとも早く湿地や水辺の草むらや苔の上などに出る種を「ネスゲモダシ」と呼びます。図鑑で「ヤチナラタケ」とされるのはこの種でしょう。
次に、どちらかといえば沢筋や湿り気の多い土地で、ブナをはじめ各種広葉樹(時に針葉樹まで)の倒木や幹の根元などに発生するのは「サモダシ」。「サモダシ」も、大きさや色のちがいがほかにもあり、専門家によればさらにもう少し細かく種が分けられるようです。
3つめは、尾根筋や斜面、平地など比較的排水のよい土地で、枯れ木や半枯れ木の主に根元へ大量の塊で発生する真っ黄色で茎が長く株状になるのを「モッコラモダシ」(最後の写真)と呼びます。
粘性が一番少なく、採る時にポキンポキンと音のする「モッコラ」は、見かけはきれいですが、旨味は「ネスゲモダシ」や「サモダシ」より落ちるというのが我が家の格付け。
さて、今年はサモダシが多く採れたでしょうから、自家貯蔵も店頭も数は豊富のはず。いつもの年よりも納豆汁を楽しめる機会が増えるかもしれませんね。