クマにとって厳しい秋

異常なほどに人里や市街地へクマが出没しています。

この季節のクマの命をささえる主食はクリとドングリですが、今年のドングリはまれにみる不作のよう。毎年は実を結ばないブナの実とちがい、安定して実を結ぶドングリを頼りにしていたクマにとって、今年は思いもよらぬ秋となったにちがいありません。

森の生きものたちにとっては運悪く、ブナも今年は実をつけた木がとても少なく、ドングリは前述のようにどこにも敷きつめられたように実が落ちている年とは大違い。大食漢のクマにとっては、主食の実が極めて少ない、まれに見る厳しい秋となっているようです。

きのう午後の須川高原、森の一部に実をつけたブナが数本並んであり、そのうちの一本の木にクマが登ってブナの実を食べたらしく、枝を樹上で折り敷いた跡が見られました。こうして実をつけたブナやナナカマドの実などを探しながら食を得て高原のクマは日々を過ごしているでしょうが、ほかのクマたちは里山のクリをめざしたはず。

その里山のクリも、タヌキやアナグマ、リスやネズミなど多くの生きものたちと競合します。さらに急速に目撃情報が増えているイノシシはおそらくクリも食べるのでしょう。

それでもなんとかクリやほかの木の実で命をつないでいるクマはこれからどこに向かうのか。高い確率で予想されるのは人里のりんご園を主にして人家近くの食べ物のあるらしい場所。彼らがこれからもっとも向かいやすいのは人里となるはずです。

クマはよりいっそう人里へ下がる。それは積雪状況にもよりますが、越冬穴へ入る12月始め頃まで続くでしょう。そう思って警戒や対応策を考えることが必要です。