紅葉見頃始まりの里山のキノコ(その2)

人里が紅葉見頃始めになると、晩秋のキノコたちも里山に顔を見せ始めます。

まずは、我が家の食卓を楽しませ続けてくれたハタケシメジです。ホンシメジなどシメジの仲間たちの多くが不作の年でしたが、秋深まるまでハタケシメジだけは並の作柄となりました。最高級の味をもつキノコですので、ハタケシメジのおかげで我が家の食卓らしい秋を楽しむことができています。いつもの年のように晩秋の最晩生もこれから顔を出してくれるか、心待ちにしているところです。

22日、クロモジの葉っぱが黄色に色づきはじめたミズナラやコナラの里山を歩くと、まず私の目に入ったのは倒れた枯れ木や立ち枯れに出始めたムギダゲ(ムキタケ)。

同じような枯れ木の根株には、ナラタケも見られますが、この日はヤマドリモダシ(クリタケ)の大きな群生と運良く出会えました。これだけ量の多いクリタケの食べ頃群生に出会えるのは一シーズンに一度あるかどうかの幸運。この群生だけでリュックがいっぱいになるほどの量でした。

クリタケのそばには、晩秋を象徴するムラサキシメジやチヂナメラコ(土ナメコ・チャナメツムタケの仲間)が顔を出していました。クリタケ、ムキタケ、ムラサキシメジ、チャナメツムタケの仲間は、みんな秋の深まりとともに出会えるキノコたちです。

10月ももうあとわずか。見上げる空には、北から渡ってきた雁の群れが奥羽の山越えをめざして南に飛ぶ姿が時々目に入ります。群れの方角からして、越冬地として名の知られるお隣宮城県栗原市の伊豆沼や長沼方面にむかうのでしょう。

春には北へ向かう空から、そして紅葉盛りの秋には南へ向かう空から「コォーッ、コォーッ」と澄んで響く雁のあの声。雁の季語は秋ですが、私は、どちらに向かう群れの声にも「オッ、今年も冬が来るな」「おっ、これで冬も終わりだな」と、これからむかえる季節への心備えを感じます。