去る6日からきのうまで撮りためていた森の精、里山のキノコたちのご紹介です。
まずは、いつものピンクのハギモダシ。この種は今年は発生量がやや多いようです。
同じホウキタケ科でも、肉厚のネズミハギモダシ(ウスムラサキホウキタケ)はそれほどでもなく、一様でない自然界の奥深さをおしえられます。
3日に「見置き」していたネズミハギモダシは6日になったらだいぶ大きくなっていました。この間みられなかった所にも幼菌たちが顔を出し、見事な菌列ができています。もう少し大きくしてからいただこうと、6日も採りはせずに、写真にだけ撮りおさめてきました。
森には、キノコの世界では最も絢爛といえる色を見せるタマゴモダシ(タマゴタケ)もよく見られます。あまりに毒々しい紅色、朱色、それに毒キノコたちに共通する姿なので、たいがいの方はこれを見れば「毒キノコ」と決めつけるでしょう。が、村でも通の方々はタマゴモダシと呼ぶように昔から食べていたキノコです。
ヨーロッパでは、このタマゴタケを高級食材として扱うことをガイド本はよく書きます。食材を活かす料理があり、そういう食文化があるからなのでしょうが、私が、我が家の家庭料理風の調理で数回食べてみても「そんなに、おいしいキノコではない」というのが感想です。毒きのこと区別する判別は易しいですが、猛毒種と間違うこともあり得ます。私にとってのタマゴタケは、ながめて楽しむキノコです。
森には同じテングタケ科のキノコで猛毒種たちも次々と顔を出しています。真っ白な姿をしているのはドクツルタケの仲間で、わずか1本で致死量にいたるほどの猛毒種でしょう。そばにはやはり毒種のテングタケの仲間らしい姿も。老菌の傘からは煙のような物質が放出され空中に漂っていました。いったいこれは胞子なのか何なのでしょう。
キノコたちがにぎわう森の地面には、晩生のギンリョウソウも目に入ります。一見するといかにもキノコのようですが、ご承知のようにこれはれっきとした植物。森には、生物界が演ずるいろんな楽しみが待っています。
▼そうしていて数日が過ぎたきのう。田んぼの収穫に向けた乾燥・調整機械の準備や、各種の書きものや原稿つくり、議案勉強の合間に「見置き」していたネズミハギモダシ(ウスムラサキホウキタケ)に向かいました。顔を見てから約一週間経ちましたが、このキノコは生長が遅し。まだ採るには惜しいですが、何度も通えないのでやむなく土から離しました。離すときには、キノコの株が太くて地面にしっかりと着いているのでボコッと音がしました。もっと生長させたら小型マイタケほどの大きさになったでしょう。後から顔を出した株もあり、きれいに並んで発生するこのキノコたちの仲間特有の菌列はお見事です。
そばには、やはり後から出たタマゴモダシ(タマゴタケ)があっちにもこっちにも。今年はこのキノコの発生が多いようです。
脇には、正真正銘のホウキタケも。この本命のホウキタケは、我が家がよく食べる前述のハギモダシ(毒種扱いされているハナホウキタケかベニホウキタケ?)に比べて私が通う山ではいずこでも発生量がそれほど多くないキノコです。茎は肉厚ですが、ネズミハギモダシより大きさとボリュームは一段下です。
同じように早生もののアガキノゴ(赤キノコ・サクラシメジ)も、食べ頃の姿でやはり菌列をつくっています。
森には、食、食毒不明、食不適、毒、猛毒など、イグチ科やテングタケ科、ホウキタケ科のキホウキタケをはじめキノコの顔がずいぶん増えました。オオワライタケやナラタケモドキも見えます。わずか一週間で、森の精たちの顔ぶれはなんとにぎやかになったもの。
それらの中でも、やはり見て楽しいのは、ハギモダシ(ハナホウキタケかベニホウキタケ)とネズミハギモダシ(ウスムラサキホウキタケ)の美しい菌列、そして紅色、朱色と鮮やかなタマゴモダシ(タマゴタケ)です。
森ではツノハシバミの実が目立つようになりました。今年は私が目にする範囲ではアケビと同じようにそれほど豊作とはいえないようです。実をひとつつまんで殻を割ってみたら、殻の6割ほどの大きさまで真っ白な中味が充ちています。味は未熟で今イチです。
この季節の里山は木の実がまだ少ないとき。林の中では、地面に横たわっている倒木を起こしたり、腐った切り株の根元を掘り起こしたりした生きものの動きの跡が所々で見られます。こんなに重い倒木を簡単に動かせるのはクマさんしかいません。おそらくこれは、卵を食べようとアリの巣を探した痕でしょう。
▼最後に、もう一度わかりやすいようにホウキタケの仲間たちを順にならべます。
最初が、我が家や村内の一部の方々はハギモダシと呼んでよく食べるキノコ。どうも学者さんからは毒種とされているハナホウキタケかベニホウキタケらしい。正式な名前は今もって私にはわからないキノコです。2枚目が肉厚食茸ネズミハギモダシ(ウスムラサキホウキタケ)。3枚目も肉厚食茸のホウキタケ。そして最後はやはり毒種?でしょう、キホウキタケにしては黄色みが薄いですからキホウキタケの仲間としておきます。これは食べる土地もあるようですが、我が家では毒種扱いで食べません。
▼溜めて載せたので文も長くて写真も多く、2日分掲載ほどの分量となってしまいました。