内視鏡検査とピロリ菌

そろそろ胃カメラ検診を受けておこうかと、先月、何年かぶりであの黒い管をのみ込む胃健診を受けた。

食欲も体調もごく普通でどこもなんともなく、治療や服薬も先年にやった眼科医院での眼の手術時以外いまは無し。病院のスタッフと診察で向き合うことは久しくなかったので、たまに訪れる病院では、診察を受ける前のあまりに近代化されたいろんな手続きに少し戸惑った。

内視鏡検査では、「胃が慢性的な軽い炎症状態と思われる。念のために組織をとって検査する。ピロリ菌の検査も行う」という診断がされ、これははじめてのことだが内視鏡で「組織」をとられた。「とる」時に軽い自覚症状があるのかと思ったが、黒い管の中にスルスルと入れられた組織を取る道具ですばやく検査物は口の外に出された。

横たわり、食道、胃、十二指腸と黒い管を腹の中に入れていながらも「ほほう、医学の進歩はたいしたものだ」などと思ったり「なんでこれだけ医学が進歩しているのに、いまだにこういう太い管を腹に入れなければ検査できないのだろう」と、勝手なことを思ったりもした。管をのんでいる最中にそんなことを思うほどの余裕があるということは「若い医師だが、内視鏡を操るのに巧みなのか?」などと思ったりもした。のみ込むときは、やはり少しは「オエッ」ときて苦しかったのだが。

このほどその検診の結果が出た。「組織に異常はなし」ということ。つまり胃ガン、食道ガンの心配はないということらしい。医師は、ただし「ピロリ菌は陽性」という結果が出たという。「ピロリ菌はガンの原因となるリスクが高い。胃炎や胃腸に関するほかの病気にも影響を与える菌。除菌するかどうか」という旨で矢継ぎ早に問いかけられた。

ピロリ菌をかかえたままでもこれまでなんともなかった(本来、人間の体には免疫力があり、抗菌できている。抗菌薬は、その大切な免疫力に悪影響を与える可能性もあるらしい)のだが、そういう診断を聞いたので「菌を直ちに除去する」と即決した。薬を処方され、およそ2ヶ月後に除菌結果を検査するとのこと。その時にはあの黒い内視鏡の管をのむ必要は無く、息を吐いて調べるだけの検査(尿素呼気試験)で済むことを看護師さんはやさしく説明してくれた。あの黒い管をまたのまなくてよいなら助かる。ホッとした。

ピロリ菌を殺すのか、ただ弱体化させて体の外に出すだけの薬なのかよくはわからないが、おそらく菌は殺されて除去されるのだろう。さてその後一週間、朝と夜二度のその抗菌薬の服用がきのうで終わった。薬の副作用で便秘や下痢など胃腸に若干の変化があるかもしれない、ということで整腸薬も処方された。結果、胃腸には何の異常もなく、薬とピロリ菌がおなかの中でたたかっただろう一週間は過ぎた。結果の診断は11月1日にされる。

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