ノウサギのうごきにも春が

18日の午後、生活用水路取水口のゴミを取り除くついでに裏手の里山中腹まで2時間ほど雪の上を歩きました。

途中、冬でも沢水が注ぐたんぼ跡の湿地にはバッケ(フキノトウ)が。まわりが2㍍50㌢ほどの積雪なのにそこだけ雪がなく根が水に浸かっているため、バッケが早くも新芽を膨らませているのです。脇にそれますが、バッケといえば、先日宮城方面の道の駅には店頭にたくさん並んでいて、1パック20粒ほどが250円で売られていました。栽培モノでしょうか、たらの芽、こごみ、ぎょうじゃにんにくなどもありました。店にも春のカオたちがごく普通にみられる2月です。

さて本題にもどります。沢の上流部では、何百㍍もの上方斜面から沢の上を落ちてきたワス(表層雪崩)の塊が堆積している厚い雪の層も見られます。見えないところから猛スピードで落ちてくるこういうワスもありますから、冬山歩きは油断なりません。雪崩の沢は、こちらがよく通る冬山歩きコースの一部でもあり、なおさらワスへの用心を強くしました。

雪原もブナの林も、眼下にのぞむ大字椿川地区を主にする成瀬川とその流域の集落も、積雪が落ち着いてきたからでしょうか、厳しい冬はもうピークを過ぎつつあることを感じさせます。遠くにのぞむ焼石連峰はまだまだ真冬の様相ですが。

この日は、途中の杉林の中で、思わぬノウサギとの今冬初の出会いがありました。

「思わぬ」というのには訳があります。当日午後はやや強い風の下、曇り空に時折陽射しのあるお天気で、木々の枝に残っていた雪が風に揺すられていっせいに落ちていました。そのために林の中も雪原斜面も生きものたちの足跡が落ちるボダ(杉の枝に着いた雪の塊)で消されてしまい、とくに足跡の浅いノウサギは林の中では跳ねた跡がまったくわかりません。

それに、ノウサギは「ボダの落ちる時は杉林の中にいない」と村の狩人(マタギ)たちはよく言い伝えてきていて、この日はそのボダも激しく落ちている最中でした。ボダの落ちる音や雪の塊をたいていのノウサギは警戒するからです。しかし、そんな日でも杉林の中に稀に伏せ隠れしている個体もいますから、いつでもどこでも例外はあります。

この日はそんな例外日だったのでしょう、大きな杉林で盛んにボダの落ちる中を通っていたら、過去何十年もよくノウサギの伏せている斜面に、なんとその「例外」の個体がひたりと雪に伏せていました。

ウサギはこちらをとっくに発見していて、いつでも跳び出せる状態でスタート前の「位置について」の姿勢をとり、私の動きに全神経を集中させています。一㍍、2㍍とウサギに近づくにつれ、シャッターを押す私の指感覚と呼吸、そしてウサギの方はいつスタートをきるか、双方の緊張感が極まります。ついにそれが頂点に達したとき、見事な瞬発力で相手は跳びだしました。

山へ愛用している一眼レフカメラが故障修理中で、写真は別のコンパクトカメラで撮ったものです。伏せ穴から飛び出す瞬間に私の体がうごき、とび跳ねる様子(写真の左下部)は一枚しか写すことができず、それもぼやけです。でも逃げる様子はうかがえるでしょう。

足跡が消されない雪原には、夜にノウサギたちが遊び跳ねた跡があり、その足跡からも春を感じ取りました。ノウサギは、春になると今年第一回目の繁殖行動をはじめ、オスとメスが夜にいっしょの動きをし、それが足跡として雪上に残ります。最後の写真2枚の足跡もそのひとつで、エサを求めて跳ねとぶ通常の跡とは異なります。そろいとび跳ねしたり、円を描いたりなど、いかにもじゃれ合っているような2匹の連れ合い跡がくっきりです。

 

それに、足跡の脇には、繁殖期特有の濃い黄褐色の「おしっこ」跡もみられます。狩人は、この時期になると「ノウサギは、ほぼ同じ箇所にオスとメスがいる」と判断して猟を行ってきました。このように私たちは、ノウサギの動きからも春がきたことを感じています。

▼きのうは、県町村電算システム共同事業組合議会の定例会が開かれました。平成31年度一般会計の歳入歳出それぞれ645,894千円の総額となる当初予算案や30年度補正予算案、専決処分案などが審議され、可決、承認されました。