まだ雪の白が支配していても、春です

まわりがみんな山々の村で、成瀬川がほぼ直角に折れ曲がるところに位置している我が集落。川は集落を貫流しここでほぼ真西へむかうため、お日様が沈む方向と川の流れが重なるようになります。

春の今は、その重なりがいちばんぴったりしている時。村の西方入り口のごくわずかの範囲だけは山がありませんから川筋にUの字の空間ができ、そこに春の陽が沈みます。ですから、わが集落からだと今の季節がもっとも夕日が遅くまで見られる時といえます。

連日のうららかな陽射しは雪解けをどんどん進ませています。雪解け水が増える夕方になると成瀬川も笹濁りの色から濁流に少し近い色へと川面が変わるようになっています。まもなく3月も終わり。冬の眠りから覚めていた川は、これから本格的な堅雪シーズンが始まれば午前は笹濁り、午後は暴れる濁流へと動きを激しくします。

濁流の岸辺、石の下では、もうカジカたちが卵をもっておなかを膨らませはじめている頃でしょうか。

見渡すまわりはまだ雪の白い世界が支配していますが、カラスやトビも、枯れ枝や枯れ草を咥えて飛ぶ姿を見かけるようになりました。川でも空でも、みんな命をつなぐ準備がはじまる春です。