希少キノコ、むっくりむっくり

「そろそろ出ているかな?」と心待ちにしていたネズミハギモダシ。家すぐそばの里山に通ったら、ホウキタケの仲間としては最もボリュウムのあるネズミハギモダシの株が、真っ盛りの姿であっちに、こっちにと、むっくり、むっくり。

そばには早生もののアガキノゴ(サクラシメジ)や、やはり早く顔をだしたか弱い株のヘンボンヒメジ(センボンシメジ・シャカシメジ)も見られます。

 

並ぶ林内には、この秋も幾度か紹介してきたピンクのハギモダシもあれば、我が家では食べないやや白みを帯びたホウキタケの仲間や、黄色みや茶色を帯びたホウキタケの仲間もあります。さらに、これは我が家では食べる仲間に入れる鮮紅色の小型ハギモダシも見えます。

これから秋真っ盛りになれば、茎の先端だけがほの赤いいわゆるホウキタケも出ますし、茎が肉厚の真っ黄色のホウキタケ仲間(コガネホウキタケ、オオコガネホウキタケ)や、色は同じ黄色でもボリュウムのないホウキタケの仲間(キホウキタケ)も顔を出します。

黄色のホウキタケを食べる地方や家もあるらしく(村内にも)、どれが食べられるホウキタケの仲間で、どれが毒種のホウキタケの仲間なのか、この種は、ほんとに食毒多彩で判断がむずかしい。ガイド本も、ホウキタケの仲間になると「毒」と記すものあり、「食」と記すものあり、「時には毒も」と記すものあり定まっていません。毒症状をうったえた方の正確な検証がされていないで、食と毒を錯誤している場合があるかもしれません。オオワライタケのように特徴がはっきりしていれば毒とわかるのですが、キノコの世界は奥深し、とくにホウキタケ科は謎、不思議多しです。

30分ほどで手にした各種キノコを並べてみました。ホウキタケの仲間たち、みんな我が家では食べているキノコですが、これらは区別がしやすいほうです。

それらのなかでもネズミハギモダシ(おそらく、ウスムラサキホウキタケ)は、色はうす紫。秋の後半に出る真っ白で大きな株のシロハギモダシとならんで大型種。茎ががっしりと肉厚で特徴がはっきりしていますから判別は簡単。ただ、発生箇所がごく限られていて、しかも色が目立ちませんからなかなか出会うことができないキノコです。それこそやや誇張して表現するなら「幻めいたキノコ」ともいえるほどに貴重な食茸です。

包丁で茎を割ればこんな形。これほどの肉厚ですから、その特徴を活かした料理につかえば珍味を楽しめることはまちがいありません。キノコそのものにそれほどの出し味はありませんから、各種調味料で様々な味付けを楽しめる、料理の腕をふるえる絶好の食材といえるでしょう。我が家では、一夜味噌漬けに、肉厚の茎をシコシコ食感を堪能できるアワビ貝風の炒め物に、それに味噌汁にと、里の秋から贈っていただいた希少な味を楽しみました。