このブログをはじめた最初の日と思われる2007年7月19日と、そして20日、どうしてだったのか、たまたま仙北道について触れています。
今回の踏査行の後に行われた交流会の際、「過去のブログで、仙北道について、源義経とロマンということで触れている」と乾杯の時に述べました。その時のことに触れながら少し仙北道への思いを書こうと思いましたが、ブログ旧サイトがいま開けないようです。こちらも記録はペーパーしかなく、10年以上前の記述部分を写真にして再録しておきます。
▼私が仙北道のことで関心を深くしたのは実はほかにもあり、交流会ではそのことにも少し触れました。むしろそちらの面からこの古道に目が向いたといってもよいほどです。その「ほかのこと」とは、仙北道のすぐそばにある笹森山でおきるタケノコ採り遭難者の捜索活動のことです。この古道が捜索救助活動に様々な面でとても役立つということについてです。
笹森山で秋田側から入山した方の遭難が発生した時、捜索活動は、まずタケノコ採り道がある通称「ウシコロ沢」を登り笹森山の頂上に連なる小出川分水嶺の「ヘンド(小出川方面をのぞめる稜線の鞍部)」に現地本部が普通は置かれます。その捜索には、現地の山に通じている捜索隊員を先頭にして健脚の少数の隊員たちで捜索が進められます。地形に詳しくかつ健脚でないとここでの捜索活動は二次遭難が確実視されるといってもよいほど山が深く、沢は危険だからです。過去、山に詳しくない方々も含む大人数で捜索活動を行ったことがあり、あの危険は二度と繰り返されないとの教訓を私たちはもっています。
捜索隊は、まずその鞍部から小出川までを左右の稜線に分かれ、北の尾根、南の尾根、そして南北尾根間のタケノコ本場採取地と、大きく3点の現場捜索を普通は行います。
また、笹森山現地とは別に、ほかのルートからも笹森山界隈に捜索隊は進みます。1つは国道397号を下り、胆沢川と小出川が合流する地点から小出川沿いに登るルート。もう1つは仙北道をたどり「山ノ神」「笹道分かれ」などの地点から先の「ヘンド」や、大高鼻沢などを捜索するルートです。
昔、笹森山へのタケノコ採りは、岩井川から県境を越え胆沢川を下り、通称「ダダラ」のすぐ下流からウシコロ沢へ入るというルートがごく一般的で、今もそれは続いています。
しかし、昭和の40年代頃まで、椿川地区の方々は仙北道から分かれて笹森山へ向かったようです。その道は今は完全にわからなくなっていますが、仙北道を考える会の元会長さん(故人)や年輩の方々は「山ノ神」がその分岐点と語りました。古道をたどれば楽に小出川に出るので、その面でも、捜索活動にとってはなくてはならない道でもあるのです。
山谷深いロマンの仙北道は、遭難捜索隊にとっても命を助けるかけがえのない道なのです。