▼雪降りがなく、除雪作業なしの朝が一週間ほど続いています。
▼旧暦ですごしたむかしの人々は、今の1月下旬から2月はじめに新たな年をむかえました。大寒を過ぎ、迎春の字を躍らせて新年をむかえる、雪国では、旧暦に記された節区分で年月を刻むのがどこやらふさわしいようにも感じられます。
▼四季の節目に私が目をとおす祖父の日記は、昭和26年2月23日(旧暦1月18日)、「ヤナギ沢杉切リ一人、ガン四九ハ トンデ行 西北ニ」と書き、その3日後には「コヘヅカホリ」と記し、春を感じて堆肥を運ぶ雪穴掘りをはじめた様子が綴られています。ノコギリの杉伐り仕事中、雁が北へ向かう姿を目にしたのでしょうか。
それから60年ほど経った雪国県南、週末に通った横手市のアップルロード沿い、好天もあって、りんごの枝切り(剪定)作業をはじめた姿がぽつぽつと見られるようになりました。いずこにも、何事にも、仕事はじめの早い方がおられるもので、60年前のリンゴ園でも、2月末には同じような姿がみられたのでしょう。もう、春がきたのだということで。
▼週末に見上げた県境の名峰の代表格「二つに並ぶ東山」と焼石連峰・三界山、いつも見下ろす成瀬川、これからは真白き山容が空の青に映える日が多くなります。
▼雪寄せ作業無しの日々だけでなく、気の流れも、水の色も、雪の色も、みんな徐々に春模様を見せ、果樹園の枝切り光景も目に入るようになりました。ですから、「もう、これで、今年は春だ」と、せっかちな私は、旧暦で年賀のお祝いをした昔の人々のように「迎春」の心持ちになっています。
▼土曜日の朝など、雪降り無しの連日に晴天が重なり、「カンジキ無しでも、裏山を少しなら散策できたよ」と、集落の山歩き愛好の方が語っていました。まだまだ本番の堅雪歩きはずっと先のことですが、1月、2月と屋根の本格雪下ろし無し、2月下旬にそんな歩きも少しできたという、雪とかかわる生活と自然の珍記録を刻んだ年と今年はなるでしょう。
▼雪降り無しだと喜ぶのは外遊びの童たち。わが家の週末、久しぶりににぎやかな声を、春色を増した家の内と外で聞くことができました。暖かな陽射しにさそわれた童たちは、雪を食べたり、木の根元にできたシガ(つらら)をかじったり、山から勢いよく水路を流れる水を手ですくい「おいしーい」と、たっぷり飲んだり。どうしてでしょう、童は水に触れるのが好きなのですね。
▼きのうは、地元選出県議会議員の新春のつどいへ。当事者の県議さんをはじめ、知事さん、国会議員さんなど、日頃村の要望などでお世話になっている多くの方々のごあいさつやお話をお聞きし、いろいろと勉強になるひとときを過ごさせていただきました。