沼の岸べで一服し、さあ、百花繚乱が予想される上へ向かいます。
都会の方で、村に仮住まいされながら冬のスキー、夏の山を楽しんでおられるAさんが、先日焼石に登り「ナデシコも咲いていた」というお話をお聞きしていました。8合目から9合目まではまさにそのなでしこ満開ロードの様相。希に、白花のなでしこもみられます。
8合目まではきれいに草木が払われた後で整備された登山道も、そこから上は所々に草木が覆い被さり足元が不安の箇所もあります。昨年だったか、高山植物(とくに花々)もふくめて幅広く刈り払われたということで問題視されたことがあったようです。そういうこともあってか、8合目から上方はまったく払われないためにこうなっているようですが、景観と保護を考慮しながらも、人が足を踏む幅ぐらいの道は草木で覆われないようにしておくのがごく当たり前のことと思われます。
8合目までの道は今のような払いでよく(湧水手前の希少なキヌガサソウ群落などは注意して)、そこから上の花の道は、ごく狭く、道に覆い被さるだけの草木を特定して払うだけでよいと思うのですが。
登山道の維持確保では、要するに全体を考えた配慮をし、極端を避けるということでしょう。これは、9合目から夏油コース分岐まで、あるいは頂上にむかうコースにもいえることです。東焼石岳・夏油コースから分かれて9合目分岐までの迂回コースはかなり道が草木に隠されてきましたから、来年あたりはまた払ってほしいものです。
さて、花です。ナデシコは日本海側から強風が吹きつける稜線の西側に群生し、同じ焼石でも太平洋側、つまり東側にはひとつも見えないのも不思議なことです。ナデシコの道はハクサンシャジン(タカネツリガネニンジン)の道、ハクサンフウロの道、トウゲブキ、マルバダケブキ、イワテトウキの道でもあります。秋の花ウメバチソウとセンジュガンピも1株を目に。背の高いクガイソウも目立ちます。ここに咲けばノリウツギもなかなかの花に見えます。
ミヤマリンドウが見え始めた9合目焼石神社で諸々の安寧を祈り、眺めがよいので少し時間をとって腹ごしらえです。
ここから頂上までは、ハクサンシャジンがひときわ見ばえのある岩場の稜線。ハイマツ、岩石、花々、紅葉と、春から秋まで訪れる人々が思わず歩をとめる天然の「築山」に何度もカメラを向けました。イワオトギリ、ミネウスユキソウ、そしてミヤマリンドウも咲きが続きます。