土にはたらきかける人々の集い

金曜日は湯沢雄勝の「わくわく農業活性交流会」(管内の担い手連絡協議会など主催)、土曜日は「村の農業を語るつどい」(村の田畑会主催)と、いずれも農業の担い手組織のみなさんのつどいへ出席しました。

▼「わくわく」の講演では、業務用米の重視が語られました。また事例発表の一人として、村農林課主任のSさんが、わが村の農業振興策をわかりやすく説明。「若いのに、立派な発表」と私に声をかけてくれた村外の方がいて、うれしくなりこちらもうなずきました。

▼村のつどいでは、東北農政局秋田支局の菊池満氏が、新たに導入されようとしている「農業の収入保険制度」について、仙北市西木町の赤倉栗園代表 赤倉一善氏が「栗栽培家業から稼業へ」と題してそれぞれ講話をされました。

TPPと抱き合わせだった農のコスト論が盛りです。コスト低減をはかるは農商工すべての産業に共通する課題でしょうが、「農」の部門で国際的な「競争力」が強調されるとき、それは少しちがうと疑問視したくなります。欧米など農産物大量輸出国が、農にどれだけの保護政策をとり国家予算を注ぎ込んでいるか、そのもとで、国家の安全保障戦略として「食と農」を結びつけ、対外戦略をたてていることにもっと注目したいものです。

わが国の食は、麦、大豆、家畜飼料等々、輸入相手国の動きにほぼ命運を握られています。「食」の根幹は国内でまかなうという欧米の安全保障政策に学び、消費者もふくめた国民全体が、安易なコスト論にはめられないことが、世界人口の爆発的増加のもとでますます大切と思われます。再生可能エネでエネルギー自給率を高める(これは地方自治体としても課題)ことへの重視と同じで、食の根幹は自前で確保する。そのためには日本国内における農のコスト論には限界があることを見つめながら独自の経営努力をしたいものです。

それに、国内では「いつおきても不思議でない」とされる大都市を襲うであろう大地震も必ずきます。その時に、都市部の方々(その多くは農山村出身の身内の方々でもある)が頼りとするのは、たとえば米味噌がほぼ一年分蓄えられている農山村、飲料水も豊富で、いざとなったら一定期間の大規模避難受け入れもできる農山村の家々や施設でしょう。対外的な安全保障政策とともに、地震国日本固有の大規模災害時の安心確保のうえからも、農のコスト論に安易にはまってはならない。国家としてのコストがある程度高くついても「農山漁村を維持しておかねば」という世界先進地の国づくりにも目をむけねば、です。

▼沿岸部を中心に風が強かった金曜日。人里は案外おだやかでしたが、寒中の焼石連峰では、南よりの強風のもとで積もっていた粉雪が舞い上がりを続けます。名峰・さんさげェ(三界山)も、頂からまるで噴火煙のような雪煙がうまれ北へ流されていました。

その写真を撮ろうと車を降りたら、しだれ桜の幹にアオゲラがとまっていました。この鳥が止まっているということは、桜の幹内にも虫の何かがつき始めているのでしょうか。