過ぎた休日をふくめ、撮りだめしていた秋本番の山の幸たちです。
「やや不作かな」と思われていたキノコの王様ミャゴ(マイタケ)は、発生時期がやや遅れたものの、9月下旬から10月はじめにかけて真っ最中。不作どころか「今年は、豊作」という声があちこちから聞こえます。
昔から通い慣れた岩手・胆沢川流域でのキノコ採りは放射能汚染の関係で今はできず、こちらが通う深山は大柳、椿川、岩井川など大きくわけて村内に4箇所ほど。それらのいずこでも、山入りした方々は「冷えが緩く出は遅れたが、今年のミャゴはかたちがいい」といい、背にする量も昨年よりは多いようです。
そんな情報を頼りにして「みなさんすでに歩かれたあと」ということを承知で、2日にこちらの採り場におよそ半月ぶりにむかってみたら、運よくまだどなたのご来訪を受けないミズナラもあり、5本の大木の根元から20㎏ほどを背にすることができました。
成長度合いは、真っ盛りから、もう少しそのままにしておけば5㎏近くほどにはなるかと思える採るには少しもったいない成長途上の真っ黒な塊までさまざま。この日は、ひと塊で3㎏がいちばん大きく、この塊もまだ成長中で最良の食べ頃マイタケです。
村の直売所にセミプロのみなさんが出されるマイタケなら驚くほどの廉価ですが、都市部の店頭や通信販売などでなら㎏あたり1万円の相場もつくという。プロの方々なら、この20㎏の荷で20万円という数字がはじかれる天然マイタケ。出会いによっては一日に30㎏を背にできることもありますから、マイタケは味の王様だけでなく、量も多く採れることからプロやセミプロの方々を喜ばせる最大級の収入をもたらす山の幸ということができます。なにしろ一日に一人のはたらきでウン十万円の価値を産んでくれるのですからね。
遅れて出てきた山の幸たち。マイタケに勝るとも劣らない価値をもつシシタゲ(コウタケ)も並作程度の発生をようやく見せるようになり、カノガ(ブナハリタケ)やナメラコ(ナメコ)、里山ではアガキノゴ(サクラシメジ)も少々見られます。
野山を歩けばそれら価値あるキノコとはまったく別のキノコとも偶然出会うことがあります。その中からひろいあげたひとつ、タケリタケという種を写真の最後に載せました。市場取引での価値はゼロのキノコですが、ユーモア価値ぶりは菌類のなかでも最高クラス。自然は愉快な造形をよくもつくりあげるものですね。