何十年もの間栽培している田んぼ隅のセリが、新しい芽を日ごとに大きくしています。
昨年秋にセリ田から畑へ移植された苗は、夏までにイチゴのようなたくさんのランナーを出します。このランナーを畑から取り出してまたセリ田に戻し伏せておくと、ランナーの節々から新たな芽がいっせいに出てくるというわけです。
我が家のセリは、はるか以前に湯沢市の旧家Mさん(故人)宅から都合していただいた苗を何十年も代を重ねて育ててきたもの。この季節になると、政治の道を含め長い間お世話になった亡き大先輩の姿をしのびます。人情にあつく、政治勘が鋭く、「政治演説とはこういうものだ」というひとつの型をもたれ、個性ある語りで名が通っておられたMさんだったのです。
料理にセリをよく使うのは秋の味覚サトイモの「えものごじる・芋の子汁」。芋の子汁の具に欠かせないのがミャゴ(マイタケ)やナメラコ(ナメコ)などこれからの秋キノコたち。さて今年、セリを我が家の鍋物に何度も使えるほどのキノコが、村の森に豊かな顔を出してくれるでしょうか。