国の新幹線整備が法に定められ、基本計画にはしっかりとあげられている奥羽新幹線と羽越新幹線。これを方針のみにとどめておかず整備計画へ格上げして建設させようという趣旨で、整備促進の期成同盟会設立総会がきのう秋田市内で開かれた。
国が定めた計画なので、この計画を直視し、いわば堂々と実現のための要望活動をすすめていこうというもの。私はこれまで「新幹線」というものの定義を深く考えたことがなかったが、設立総会後の講演会で松橋貞雄氏(独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構理事)の講話をお聞きし、はじめて新幹線とはこういうものだということを知った。それを簡単にいうと、速度は時速200㎞以上、線路の間隔が1,435㎜、在来線より車両も施設も大きく、線路への立ち入りを処罰対象とする、という特徴をもつのが新幹線ということ。
帰宅して広辞苑を開いてみたら、もっと簡単に「JRの都市間高速幹線鉄道、軌間1.435㍍」と記されている。われわれは、在来線を走る車両の「つばさ」や「こまち」を「これが新幹線か」と思いながらも、福島や盛岡に入れば名実ともに新幹線の軌道を走るものだから「新幹線」と思い込んでそんなに不思議でなく利用している。が、東北新幹線から軌道がはずれた「こまち」と「つばさ」は、正規の基準からみれば車両だけはほぼ新幹線並みだが、ほかにまだいくつかある新幹線基準を満たせない「准新幹線」ということになる。厳密にいえば、在来線に入ったら新幹線とは呼べないということになってしまう。
そういうことなので、設立総会は、「呼び名だけでなくすべてが本物の新幹線を、しかも国の計画通り実現させよう」という運動の始まりになる。これにはまったくの道理がある。道理があり実現できるとみなさんとらえているからだろう、強力な運動が全国の各未整備地区でこれから加速するとみられているようだ。
地方の発展をめざすならば、新幹線網整備は欠かせぬ条件であり、すでにそれは、新幹線網の敷かれたところの過去と現在のあらゆるデータ比較から有無を言わせぬ数値結果が出ていることをきのうの講演でも拝聴した。政治の公平さからも、国はまず同じ条件づくりを地方に等しくおこなうことを優先すべきで、新幹線もそのカナメのひとつだろう。
道理のある運動はいつかは成果にむすびつくもの。問題はその時期で、本物の新幹線が秋田と山形に実現をみるのは、果たして、この設立総会から何十年後となるかだ。
それとあわせて頭をかすめるのはもうひとつ。新幹線整備を真正面にすえる運動をはじめるわけだから、現在われわれが取り組んでいる「ミニ新幹線」の新庄から秋田県への延伸運動について、今後の方向性を検討しなければならなくなるだろうということ。