7月8月と比較的晴天が多く「大発生が期待できるかも」と思われていたキノコのトビダゲ(トンビマイタケ)が、どうも鈍い発生のようです。
村では「日照りトビ」ともいわれ、日照りが続くと発生環境がよくなるとされてきたキノコ。そんな天候であったのに発生が少ないということは、日照りのほかにもこの菌類の成長に影響する別の要因もあるからなのでしょう。自然は、人間の狭いとらえかただけでは説明できない不思議がまだまだいっぱいあるようです。
そんな中、今年は希少価値とされる見事な野生のトンビマイタケが、先週、直売所の店頭に並べられていました。山菜やキノコ採りでピカイチの技をもつSさんが採ってきたキノコ。もちろん放射能汚染の心配で出荷制限や採取自粛が野生キノコを対象に一部地域でつづいている他県からの採取ではないキノコです。それに、県の機関で放射能検査もされていて「放射能不検出」の結果も出ている安心安全のキノコです。
このかたちは、トンビマイタケとしては最高級の幼菌で、これ一個で約1㎏、価格は1万円。市場経済、ほしいものには高値がつくのが常。土地によって「ほしいもの、いらないもの」に違いはよくあるもので、このキノコもそんなうちのひとつでしょうか。秋田県南では、マイタケと同じ価格、今年のように不作だと、それ以上の価値がつくほどに人気の高いのがトビダゲです。
トビダゲはブナの木の根元に発生するブナ帯の食文化。キノコの図鑑や写真本などでみかけるトンビマイタケはほとんどが堅く(しなぐ)なって食べられる代物でない老菌。珊瑚のようにクリーム色や真っ白に輝く幼菌を載せたガイド本を目にしたいものですが、私はまだそんな写真の載った本を手にしたことがありません。
▼台風11号、9号と、被害に遭われたみなさんにお見舞いを申し上げます。昨夜に村を通り過ぎた9号。やや強い風もありましたがどちらかというとここでは雨台風。深夜、いっきに増水した成瀬川本流と各支流も、今朝には雨も止み水位はぐんと下がりました。それでも濁流は勢い激しく下っています。
しばらくの間河川の増水がなかった村なので、久しぶりの自然の浄化作用で河床はきれいに洗われました。洪水の後に目立つのは、河口を含む海岸線までどこの河川敷にもみられるプラスチック類ゴミの流れ着き。日本で最も美しい村連合の一員であるわが村とそこにくらす私たち。洪水後に漂着する河川ゴミには、いつものことながら敏感になります。