魔ともいえる魅力をもつタケノコ

「子供や兄弟姉妹たちに」と、土曜日はタケノコ山へ向かい半日を過ごしました。

CIMG4039-1こちらが向かったのは岩手県境と接する秋田側のタケノコ山。タケ藪の中、それも最も上質のタケノコが生えている箇所にはクマが今々タケノコを食べた痕が随所に見られます。最初の写真はその食べ痕です。地面にはやや土が沈んだ足跡がありますからこれはかなり大きなクマでしょう。彼らの食事場所に人が踏みいるわけですから、いつお互いに運悪くバッタリ出会うかわかりません。

山に入ったら、とにかく自分の存在をクマに早く知らせること、新しい食事痕や糞、足跡があったらその場からなるべく離れること、これが最大の事故防止です。ただ、自然界ですから、いつどこでどんな予想外のことがおきるかはわかりません。山に入るとは、そういう覚悟が必要なのだということです。

朝ゆっくりでかけたのですが、もう秋田側国道沿いは車でいっぱい。東電原発事故による山菜への放射能汚染がまだ不安ということを知り、こちらは昔から最もよく通った胆沢川流域への山菜採りはやめることにしました。たとえ安全基準以下でも、子供や童たちが汚染された山菜を口にするのは不安だからです。

岩手や宮城県が発する放射能汚染状況を知れば、放射能汚染でどこの山菜のどんな種類の山菜が対象になっているかがよくわかりますから、山菜採りに向かう方々はそういう情報をよくつかむべきです。奥羽山脈を隔てて岩手県南部、宮城県北部と接する秋田の自治体も、隣県市町村の放射能汚染情報を住民に正確に知らせることが大切でしょう。「汚染・規制されたままのものは採らない、食べない、売らない。汚染・規制されていないものは大丈夫」という、山菜、きのこについての出荷制限、採取自粛の正確な情報提供です。

CIMG4037-1CIMG4038-1CIMG4022-1県境を越えた昔からのタケノコ山には、放射能汚染のことなどほとんど大丈夫と思ってでしょう、以前と同じような人のにぎわいがみられるようですが、タケノコについても、同じように岩手・宮城側が発する正確な情報提供を秋田側は把握しているはずです。その情報を間接的にでも秋田側住民につたえておけば、住民や流通業者のあいだに広まっている不安や風評をとりはらうのにも役立つでしょう。今必要なのは、正確な情報提供です。

さて、こちらは一人で向かったタケノコ山。休日の晴天ですから、あちこちから「ホーッホーッ」と、仲間と居場所を確認し合う叫び声が山中に響き渡ります。各地でクマに襲われる事例や遭難が多発している報道に接していても、タケノコにはそんな恐ろしさを上回る魔の魅力があるのでしょう。6月の奥羽深山は一年で最も人々のにぎわいをみせる、その光景は今年もまったく変わっていないようです。

CIMG4023-1CIMG4029-1▼一年に何度か、たんぼと山と空が合わさってすてきな景色をみせてくれる山間の集落。金曜日の夕方にも、とってもきれいな雲が奥羽県境の山並みにうまれていました。