ミズバショウとリュウキンカの焼石山麓行(その3)

まだ雪の上を自由に歩けますから、帰りもあちこちの湿原へ簡単に寄り道して、花、雪、水、山、空が織りなす景色を堪能。

CIMG3639-1CIMG3640-1CIMG3642-1CIMG3643-1CIMG3652-1CIMG3655-1CIMG3666-1CIMG3668-1CIMG3669-1CIMG3677-1CIMG3679-1CIMG3682-1CIMG3685-1CIMG3687-1CIMG3688-1CIMG3690-1帰りは登山道をあてにしないで沢に入り、雪のあるところを選んでわたり歩き、往きにながめた魅力あふれる湿地帯に帰りもまた立ち寄りました。午後の陽射しの下での花景色もながめてみたかったからです。光と影が美しい早朝や日暮れ時もきっとすてきな景色がここではみられるでしょうが、それは、いつか泊まりで来るときの楽しみにしておきます。

ご案内のように登山道には、小さな渡渉を必要とする箇所がいくつかあります。往きはまだ大丈夫ですが、雪解け時の帰りは水量が倍以上になることはざらです。この日はそれほどでもありませんでしたが、それでも、往きの1.5倍ほどに沢の水は増えています。少し立ち止まって、水の中になってしまった石を選び選びしながら流れを渡りました。

村で山菜採りや狩猟を業として、ハギミやマタギと呼ばれた方たちは、雪解け時の山入りでは「帰りのことを思案しろ」とよく言いました。朝のうちは簡単に渡れた川が、帰りが午後になると雪解け水で真っ黒な濁流へと川の勢いが激変するからです。

この流れで命を失った方もおり、「春の川越え、とくに本流渡りは、午前早めに限る」が教えです。こちらも、若い頃の仲間たちとの山行で、午後になってからの雪解け時の濁流渡渉で胸近くまで届く激流の中、一歩間違えば「お陀仏」という目に遭ったことがあり、その危なさは身にしみて知っています。

CIMG3692-1CIMG3699-1CIMG3700-1帰りには、シャガヂアゲそばの県境の尾根から胆沢川源流部のほぼ全体を俯かんできるクラ(崖)の上に立ちました。背後には合居川渓谷の緑、眼下眼前にはブナの緑と雪解け水の胆沢川。奥羽の森のなんと雄大なこと。若い頃に歩いた一つ一つの沢や尾根などでの山歩きの出来事が、今今のことのように思い出されます。

車に到着は3時ちょっと過ぎ。時間が早かったのでこんどは胆沢川と大森沢が合流する下流にまわり、橋の上からみなさんおなじみの景色を目にし、この日の青葉の森の見おさめとしました。