国有林のフクジュソウも咲く

平年より雪解けが早いのをみて「国有林の小花たちが咲きはじめたかも」と、沼又沢へ散策程度の歩きで向かいました。

出発地点に着いたら、山歩きではなじみのAさんが車から下りたばかりでバッタリの出会い。彼は、そこらあたりの里山川沿いでカンジキづくりに使うシラグヂヅル(シラクチ・サルナシの蔦)を取ろうと出かけてきたとのこと。Aさんはカンジキづくりの名手で、こちらも彼のつくったカンジキを一足求めております。

雪は堅雪状態で歩きやすく、目的地まではすぐに到着。目当てとしていた小花の第一はチヂザグラ(土ザクラ・イワウチワ)で、沢を渡った急斜面にその群生地があります。沢は本格的な雪解け濁流にはまだならず増水もなしの澄んだ流れです。足を置く石の滑りでの転倒にさえ気をつければ簡単に渡渉できます。

群生地の雪は陽当たり急斜面なのでとっくに消え、イワウチワはみんな顔を出していました。でも、さすがに花はまだ早く、蕾がだいぶ大きくなり赤みを増してはいるものの開花はどの株でもまだ見えませんでした。もう4~5日したら、この蕾は咲き始めるのかな。

別の急斜面には、野草ではもっとも開花の早いフクジュソウが少し見られました。里山の陽当たり斜面ではフクジュソウが真っ盛りですが、人里から離れた村内の国有林でフクジュソウがこんなに手軽に見られるのはおそらくここだけでしょう。

川沿いには、ヤシカ(ハンノキ)の木の固有な花房がいっぱい垂れ下がっています。この樹種は同じ枝に昨年の黒くて丸い果穂も着けていて、早春固有の樹木姿として目に止まります。

今冬は、1月末までは通常の豪雪でしたが、2月以降は降雪がそれほど多くなく、わが家の3月は一度も除雪作業無しで済みました。おかげで雪解けはやや早いですが、渓谷に落ち込んだ雪崩の塊はほぼ通常の冬と同じ量です。2月まではたっぷりと降りましたからね。

雪崩により倒された幹も沢をまたぐ雪橋の上に横たわっています。こうした幹が洪水によって下流の河川敷に流れ着き、そこにキノコが生えてくれるという自然の循環が行われます。中州の多いわが家前の河川敷は、何年かに一度おきる大洪水の時にはその典型的な場所となるのです。

雪の積もりようが通常とはちがった冬のためか、落雪や雪崩がふだんの年では見られない場所でも発生しています。例年とちがい今年の春山は、予期しないところで雪崩落の危険がありますから注意を要します。