ワス(表層雪崩)はこうしておきる

過ぎた週末から日曜にかけ、国内各地のスキー場や登山で雪崩の事故が発生しました。

現場をみていないからわかりませんが、先週はそれまでの積雪が締まっていた所にいっきに新雪が積もったので、雪崩の一定箇所はおそらくその新雪が滑り落ちたワス(表層雪崩)と思われます。

実は、今はそのワス(表層雪崩)がとても発生しやすい雪状態であることを、日曜日の小さな体験からあらためて教えられました。

その体験というのは、自宅のエド(池)に引く水の取水口のゴミを取り除こうと用水路脇の雪を掻いていたときのこと。水路側の雪をスコップで落としていたら、いきなり雪面がビッと音を立てて割れ、10㍍近くの幅にわたって厚さ30㌢ほどの雪の層が水路に崩れ落ちたのです。

雪の割れ面と雪の落ちた跡は写真のとおりです。こういう状態で雪の層が割れ離れて大規模に滑り落ちるのがワス(表層雪崩)で、村人も過去にこのワスでいたましい命を奪われております。ワスの発生は、わずかの震動によって引き起こされるまさに一瞬の出来事。そのスピードは時速100㌔を超えるというほど早く、国内の過去数多の事故例のように破壊力も甚大となるのです。

こちらも過去に、狩猟の方がワスに襲われた現場を目にしたことがあります。その方は、雪崩に巻き込まれて滑落、幸い命は助かりましたが滑落の際に銃などを雪の中に埋めてしまい、「銃を探しに行ってほしい」と頼まれた時のことです。

厚い雪を何時間も掘り続けてやっと銃は見つかりましたが、スコップで雪を掘る時のワスで締まった雪崩の固さを今も時々思い出します。この雪の直撃を受け、しかも締め付けられるわけですから人の体などたまったものでないのです。

雪面に新雪がいっきに降るこれからは、登山、スキー、仕事と、ワスへの警戒をとくに強めての山入りとしてほしいものです。