雪解けの遅かった豪雪の村でも、ようやく田植えが終わりの頃となっています。
すでに早苗がしっかりと根を張り生長の勢いをつけようとしているわが家の田んぼ脇には、花期を終えようとしているレンゲツツジにかわって真紅のヤマツツジが見頃の季節となりました。(1枚目の写真の上部がヤマツツジ、下部が遅咲きのレンゲツツジ)同じように畦際に咲くサラサドウダンツツジも花盛りです。
質の良い山菜が特産の村ではネマガリタケノコとワラビが真っ盛り。山形の方々は主にタケノコを求めて、宮城の方々は主にワラビを求めてと、例年のように県外ナンバーの山菜採り人がもっとも目につく季節がやってきました。
わが家の転作田のワラビも採り頃がずっと続いています。量が多く生では処理しきれないので、近年はゼンマイのように手もみ乾燥して貯蔵し、冬にいただくことにしています。ワラビの貯蔵といえば昔から塩漬けがごく普通の貯蔵方法でしたが、昨今は乾燥する方も多いようです。乾燥ワラビはゼンマイとちがった特有の歯ごたえ、おいしさがあるので、食通の間では干しての食材利用がじんわりとひろがっているようです。
ワラビは「ゼンマイとちがって手もみ無しで乾燥してもだいじょうぶ」というくらしの智慧をおもちの方のお話もこのほどお聞きしました。どんな分野にも、いろいろと研究されている方がおられるのですね。
ひと昔前なら、田植えが終われば「よで」と呼ぶさなぶりの宴が、結(ゆい)仲間同士で今日はこっちの家、明日はあっちの家でと行われ、その「よで」につきものの食材が、たとえばこちらの母の実家では新芽を出し始めたミョウガのおひたしや、ツブ(たにし)の味噌煮、ツブとニラをあわせたあえもの、酢ものでした。
また、家族や仲間で深山に鍋を持ち込み、焚き火の鍋にアザミの茎やウルイ、タケノコを手でもぎって放り込んでの豪快な山菜鍋もこの季節の楽しみ行事でした。が、いまの時代そんなことはほとんどなくなり、はるか遡った写真をアルバムでながめての「昔語り」になってしまいました。
そんな当時を想いながら里山の道路脇に車を止め、歩いて10秒ほどのすぐそばのまだ雪崩の塊が残っている谷に立ち寄ったら、雪解け直後の地面にホンナとアザミが群生していました。そこでサグ(エゾニュウ)の芯とホンナ、アザミの茎を採ってきました。
アザミとホンナは、これはうれしい「終わり初モノ」としておひたしや味噌汁でいただき、サグは冬におでんの具としてごちそうになるため漬け物にしました。