栽培ワラビ真っ盛り

ワラビを田んぼ25㌃ほどで栽培しているわが家。地元集落では最も雪解けの遅い場所にある転作田ですが、そこでもきのうお知らせしたようにワラビが採り頃の季節入りとなりました。

栽培といっても、もともと田んぼのあった所はワラビやゼンマイが自然に生える原野を開墾した農地。ワラビたちは同じ土に根を張り育っているので栽培モノも自然モノとほとんど同じワラビというわけです。

この開墾組合が拓いた田んぼも、生産者米価の暴落や後継者不足、栽培条件不利などで年々耕作されない農地が増え続けています。わが家も、ワラビがつくられているうちは草木などを取り除いて農地としてなんとか保っていますが、行く末がどうなるかはわかりません。

田んぼそばの高台には開墾組合の記念石碑があります。田んぼにワラビが植えられていたり、作物が作られない田んぼ、荒れた田んぼを開墾当時の人々がもし見ることができたなら「えっ、なんで?」と驚きの声をあげるでしょう。

今も将来も何億人規模の飢えをはじめとする食糧危機が叫ばれ、ロシアのウクライナ侵略により世界の飢える民はさらに急増するとされています。国内でもその日の食に困っている人々がいて、ボランティアによる支援では「日持ちするお米の支給はありがたい」と、お米の無料配給は今も人気があるそうです。そんな現実がある下で、水豊か、土豊か、気候温暖なこの国で、お米がつくられずに広大な農地が荒れてゆく。

政治とは、こういう理不尽をなくすためにあるのでしょうが、その矛盾を解決する一定の方策はたてられてきたものの、「生産費をはるかに下回る生産者米価」の現実が長年続き、その米価低落による所得を外国のように手厚い国の補助でささえるという根本策はたてられずに時は経ちます。市場経済にゆだねるだけという低米価が続けば、村も国内も田んぼの荒廃はさらに急加速するでしょう。

田んぼでワラビをつくりながら、年々、集落単位で耕作されない田んぼが増える村の状況と、集落を見下ろし続けてきた「郷土安全」「組合隆昌」の文字が刻まれた開墾記念碑をみて、世界の食糧危機にまでこちらの思案は及びます。