真冬と同じ厳寒が続く日々となりました。道路に吹き溜まる朝の雪寄せはいつものように多いものの、屋根は地吹雪で積雪量はそれほど増えず、野の雪の深さも最高時よりはかなり下がっています。それでもわが集落で2㍍は越えていますが。
そんな按配ですから屋根のマブ(雪庇)を落としには上がりますが、雪下ろしを本格的にするほどでもない日々となりました。荒れ空なので休日も山歩きにも気分がのらず、家の中にじっとこもり、きのうはすでに読んでいた本を棚からまた取り出して読書にふけるときを過ごしました。
おかしなもので、そうして取り出す本は、何度も何度も読み返しを続けているほぼ同じ本です。それらは決まって、宇宙のこと、地球のこと、山のことなどの様々な著書や、東京の古本屋で求めた井上ひさし著の「にほん語観察ノート(中央公論新社)など。
今回は、それらに加え、了翁禅師研究会編の「名僧了翁さん」―その人と業績―(イズミヤ出版)も再度読み直してみました。湯沢市幡野に生まれた江戸時代の名僧了翁禅師は、上野のあの寛永寺に寿像と頌徳碑があり、「教育、人づくりと福祉」などいわゆる「利他」の心で人々に崇められたと史実として伝えられる高僧です。
その彼が、わが村、わが集落の龍泉寺で少年時代に得度、それを記念する碑が有志によって境内に建立されていることは以前にもこのブログで少し記したことがありました。先年、上野の寛永寺を訪れ境内の寿像と塔碑を目にし、そのときの様子もやはりこの欄でご紹介したことがあります。
村の歴史を綴る郷土誌にも12ページにわたり特筆されている了翁禅師。僧としてのはじまりの土地であった龍泉寺で、時に12歳からあしかけ3年の歳月をこの雪深い地で過ごす中、修行のさらなる高見をめざそうとした彼の思いはどこからきたのか。利他に徹して成し遂げたことのあまりの大きさと、その生きかたには感ずることが多くあります。写真はその龍泉寺山門の今日の様子です。
読書の多くは前述したように棚に積んでいたものの読み直しですが、雪作業にあまり体をとられることなく、かといって農作業もまだない私の2月下旬~3月は、一年でもっともゆったり過ごせるうれしい月日となります。
宇宙に目をむけ、地球の成り立ちを再度学び、山のガイド本で人々の山旅の楽しさと列島の奥深さを知り、時に偉人の生き方を考えさせられてもらい、好きな作家の言葉にふれることが気軽にできる。私の今これからは、日中にゆっくり本が読めるうれしい時のはじまりとなるのです。