春のささやきが

過ぎた休日は、おそらく今冬最後となるだろう雪下ろしのことをきのうも記しました。

この間はお天気もおだやかだったので、おとずれた孫(中1)とめずらしくいっしょになり、ワカンジキを履いて河川敷や近くの清水そばを散策。新型コロナ禍なので学校の部活も活動の自粛や制約があり、しばらくぶりでの野の2人歩きです。湧水に育つクレソンやノゼリを摘み、やや春色を帯びてきた成瀬川の岸辺でふっくらと顔を出し初めたネコヤナギを目にしました。

清水そばの雪の溶けた湧水源には、大きなオスヤマドリが2羽もいて食事中だったのでしょう、私たちが1㍍ほどの距離に近づくまでこちらを察知できず、目の前の雪穴から突然ドドドッーと大きく長く美しい尾羽を見せて一直線に飛び立ちました。

滑走なしでいっきにあのような猛スピードを出せるヤマドリの瞬発力には、いつものことながらたまげてしまいます。あまりに早くて、美しい飛翔姿を見せたせっかくのシャッターチャンスを逃してしまいました。孫も、雪の季節にこんなに近くでオスヤマドリの飛ぶ姿を見るのは初めてで「キジのようだった!」と語りました。

河川敷と湧水の流れる雪原は冬も生きものたちが命をつなぐ大切なくらしの場。水辺にはテン、キツネなどの足跡がいっぱい。それらの生きものかあるいは猛禽類に襲われたのでしょうか、カケスかキツツキらしい鳥が何ものかに捕獲され食べられた跡が雪上に見られました。

夏に童たちと水浴びをするなじみの渕(桜淵)には今も2羽の白鳥が棲んでいます。どうやらここら辺りから手倉地区あたりまでの成瀬川で冬の間中過ごしている白鳥のようです。どこで何を食べて命をつないでいるのか、食が細く寒い中この大きな体をよく保てているもの。私の思いはいつもそんな所に及びます。彼らも、まもなく、遠い北の地へ飛び立つでしょう。