冬、とくに1月から2月にかけては普通の季節よりも本や書物などに目を通すことが多くなる。こちらの場合、雪寄せ以外は農作業などもなく屋内で過ごすことが多くなるからだ。
それらのなかで、いま繰り返し手にして読んでいるのは、昭和47年から議会独自の広報として発行してきた議会だよりを平成26年に「縮刷版」として発行した大冊と、それよりはるか以前の、明治から昭和、大戦前後などからの議会の議事録である。
写真は、昔の議会の様子をつたえる議事録の一部だが、戦後、議会が公選制となった時の昭和22年5月の村議会の初会の様子(議長や副議長選挙)が記されたものである。
また、昭和の「町村合併」の際に、村や村議会、隣の西成瀬地区の意向などが記された会議録も当然ながら写真のように遺されている。昭和の合併については、村の郷土誌にもやや詳しく記されているが、この会議録を読めば、当時の様子が臨場感をもって読む者に伝わってくる。
議会の縮刷版からも、戦後の公選制となった議会、そしてさらに遡って戦中、戦前、大正、明治の会議録からも、ただ単に議会の活動の記録というものを越えて、そこからはその時代に生きた議会人、村長をはじめとする執行当局、役場職員、そしてそれら全体をささえた村の人々の熱い血潮のようなものを深く感ずる。
温故知新とよくいう。古の人々のはたらいた様子をよく学び、そこから教訓をつかむことは今後の村づくりにとって大事なこと。とりわけ村の若い方々、村と関わってお仕事をされている方々には、今の村の立ち位置を知るうえでもぜひこうした近・現代の村の歴史も学んでほしいと思う。
私はまもなく71歳。だからこそ、日々を大切に、およそ27年近く構成員として自分も辿ってきた議会と村政の歴史を「議会だより縮刷版」や「会議録」で振り返り、「初心、忘れるなよ!」とその大冊に刻まれた一字一字から学ぼうとしている。
ところで、村制施行以後の村の様子を伝える議会の「会議録」「議事録」は、村の大切な「遺産」であり、ほかの貴重な古文書、文書類とあわせて大切に保管されている。が、もし万が一火災などがあれば焼却の可能性は大きい。村管理の大切な文書、そしてこうした会議録などもふくめ、文書、記録物保管のための安全な設備が村としても必要であろう。
いま平成版の村郷土誌が編集最中であるが、それらの編集過程でも、様々な「文化遺産」「記録物」保存の重要性があらためて認識されたようだ。ずっと将来にわたって、村の人々が「故きを温ねて新しきを知る」ためにも、文書遺産の完全な保全にも目をむける時なのである。