リンゴは、ハタハタと同じように、あるいはハタハタ以上に昔から雪の季節をくらす村人にとって大事な食べ物でした。
過去も今も、りんご農家が身内に多い我が家は「りんごを常食」が今の時代になっても変わらず。もぎ取りを終えた頃には、おいしいりんごやラフランス系統の梨などをたくさんいただき、また買い求め春までおいしく食べます。
昨シーズンの豪雪時も記しましたが、秋田県南地方は世界有数の豪雪地帯。そこで栽培されるリンゴは世界で最も雪が多く積もる土地で栽培されるリンゴということになります。
積雪による被害がほとんどない地方に比べて、世界有数の豪雪地方での栽培にむける努力はなみたいていのものでなく、長年積み重ねてきた農家の努力には、それがあたりまえの仕事とはいえ尊敬の念すら覚えます。
そうした努力の成果は「秋田県南地方のリンゴは、とりわけおいしい」という評価につながるのでしょう。その評価は、海外にまでひろまっているようです。我が家も、関東をはじめ南の地方にくらす身内やお世話になった方々へ「横手・平鹿・醍醐・増田、湯沢・雄勝地区」のりんごやモモ、サクランボなどの果樹を長年贈っていますが、相手方からの「おいしい」という評は続いています。
中には、「ほかの地方のりんごを贈答用に頼んでいたが、贈っていただいたりんごがおいしいので、それに替えた」という方や、「みかんを贈答用にしていたが、横手・平鹿のりんごがおいしいので、りんごに替えたい。生産者のご都合を教えてほしい」という連絡が入ることもあります。
自分のつくったリンゴが、ほかの国内大産地のりんごより「おいしい!」といわれるのは果樹農家にとっては何よりもうれしいこと。我が家でつくった「あきたこまち」が「これは、おいしい!」と言われた時に私がニコッとする時ときっとそれは同じでしょう。
りんご農家も高齢化が著しく、また後継者のいない方も少なくないようです。私は産地の当事者ではありませんが、とりわけ栽培技術の優れている農家のその積み重ねた技は貴重で、次世代への継承もなんとか保ってほしいと願う昨今です。「豪雪で世界一栽培の難儀な土地でつくられる、世界一おいしいリンゴ」を食べ続けられるために。