カヤ、ヨシ、オギの区別

昔から人々の暮らしをささえる用具の材とされたススキの仲間の野草たち。

それらのなかでも、カヤ(ススキ)やヨシ(アシ)ならごく身近でよく使われていたのですぐに区別がつきますが、同じ仲間のオギも加わるとその違いを知るのが少しややこしくなります。

カヤ(ススキ)は、屋根の葺き材や編んで炭俵、冬囲い材や畜産などにも使われ、最も用途が広く多く使われてきましたからよくご承知の野草です。ヨシ(アシ)は、すだれやお盆の供物を載せる台などにも使われ、やはり身近な野草でした。

それらに比べオギは、植生が比較的限られることもあってでしょうか、我が家のむかしの暮らしではあまり使われてこなかった野草です。ところが、このオギ、カヤやヨシとちがい草ながらも茎のつくりが堅いために魚を焼く串にはあつらえむきの材となるようです。

毎年、須川高原の温泉で焼きたてのイワナを販売する村内椿川のTさんは、「魚焼きの串なら、オギが最良」と、毎年この季節になるとオギの刈り取りを行います。人によっては、ゼンマイをモミ干す時に敷く用具として、オギで編んだ堅いすだれは最適という方もおられるようです。

3種の野草を生えている状態で見れば、写真の3枚目がカヤ(ススキ)、次がヨシ(アシ)、5枚目がオギです。

刈り取って道路に並べた姿では、向かって左がカヤ(ススキ)、真ん中がヨシ(アシ)、右がオギです。膝にのせ重ねて茎の状態を見ても違いは明瞭で、重ねてある上3本がオギ、中3本がカヤ(ススキ)、下3本がヨシ(アシ)です。オギとカヤは茎が充実していますが、ヨシは茎が中空です。

これを見てわかるように、刈り取りやすく、茎の部分の葉が少なくて削りやすく、草でありながらも茎が丈夫なオギは串材に最適の野草とされたわけです。

カヤは茎がやや丈夫で葉も落ちず多く残り、しかも柔らかさがあるのでそれらに適した材として、片やヨシはやや堅く茎が中空なので軽く、その特徴を活かして日除けのすだれ用にと、むかしの人々は草の違いの良さをよくみて暮らしに用いたようです。私たちは、先人の知恵を、こうしてあらゆるところから学ぶことができます。