稲を踏み倒すイノシシ

真夏日、猛暑日の毎日ですが、「夏に暑いのはあたりまえ。暑いなかでの仕事もあたりまえ」と3回目の畦草刈りを終えました。外で仕事をしている人々はみんな猛暑のなか頑張っています。もちろん、昔とちがって今は熱中症予防には注意しながらです。

林業で木材搬出や伐採の仕事をしてきた私は、農業だけでなく暑いなかでの山仕事の体験を数多くもっています。夏の暑さでいちばんきつかったのは、倒した杉の枝をはらい落とし、横倒しになった一本の木そのままの皮を剥ぐ作業でした。

切り倒した杉の幹は、皮が着いたままだと虫に取り付かれ材に虫食いがおき価値が下がります。皮むき(皮剥ぎ)はその虫食いを防ぐための作業です。作業は、伐倒直後でまだ材として丸太に切断される前、山に横たわる一本一本の長い木の枝をまずマサカリではらい落とし、その後に専用の皮むき(剥ぎ)道具で根元から梢にかけ次々と皮を剥いでゆくのです。写真は、我が家に残されている皮むきに使った道具です。

暑さのなかでの仕事は、ほかにもたくさんあるでしょう。山仕事でほかに暑さできついのは日影のない場所での伐倒作業、日影のない場所での植林のための地ごしらえや植林、それになんといってもきついのは植林してまもない樹齢が若くて日影のない山での刈り払い作業でしょう。そこは暑さに加えて人刺しアブの大群も襲撃し、時には蜂の攻撃もあるでしょうから、これも夏にはもっともきつい労働に数えられました。

道路工事現場などの車両誘導のガードマンさん、トタン屋根の上で仕事をされる方も暑さのなかでは大変な仕事と思います。猛暑のなかで、ほかにも様々な職種の方々がこうして日々励んでいます。暑くても、寒くても仕事は続けなければならないからです。そういう多くの方々の努力で社会が成り立っていることに、時には思いを寄せたいものです。

▼ところで、暑さのなかでの草刈り作業にはまいりましたが、それ以上にまいったのはイノシシの田んぼへの侵入です。

畦草刈りをしていたら、水を絶った田んぼの土を掘り返し、稲の根元を食いちぎった跡があります。よく見たら、土には蹄の跡があり、水がない田んぼの中を稲株を倒しながら自由に歩き回った跡もあります。カモシカはこんなことはしませんし、出没が見え始めたシカも土を堀るこんな行為はしないはずです。畦に重ねてある稲ワラも掘り返した跡があります。ミミズを捕食するためでしょう。とすれば、これはまちがいなくイノシシの仕業。

このイノシシはスキー場下部の林野に棲んでいるのでしょう。これからはジャガイモの収穫期、そして実りの秋となります。稲だけでなく、根菜類をはじめほかの農作物への被害が懸念されます。昨年までは、棲息が増え稲の籾を食べるクマまで出没しましたが、今度は田んぼがイノシシに荒らされる。シカが増えればそれも稲や農作物に向かうでしょう。時は2021年の夏、縄文や古代のような獣たちが生きる秋田になってしまいました。