ヒロッコを掘りコゴミを摘み

過ぎた日曜日、予報は雨を告げていたので終日家の中で過ごす予定でした。でもそのお天気、朝からそれほど悪くはならず、時折の陽射しもあってしばらくは雨も降りそうでありません。

「それなら、少し散策を」と、自宅前へヒロッコ(アサツキ)掘りとコゴミ摘みに出かけました。

雪解けが早くすでに採り頃が過ぎた南向きの原野とちがい、雪消の遅い北向きに生える野のヒロッコは発生が遅く今が採り盛りです。

コゴミも、水際や雪崩が早く落ちた斜面にいよいよ本格モノが顔を出し始めました。そばにはナルコユリの仲間も顔を出しています。

ヒロッコは掘るには簡単ですが、セリとちがって根は食べられないので調理できるまでに一本一本の毛を切り落とすめんどうな作業が待っています。この作業はコツコツと同じことを続ける根気がなければとてもつとまらず、短気者にはなかなかムリ。

「水を飲む時には、井戸を掘った人の苦労を思え」といわれますが、それこそ「ヒロッコを食べる時は、根毛を取り除いてくれた人の苦労を思いたい」です。食べるだけなら、美味い美味いで簡単、あっという間ですからね。

人の苦労を知るためには、可能ならば自分でその苦労を直接体験してみる、これは何事にも通ずることでしょう。とりわけ、そういうこつこつとした粘り強い仕事、作業、家事にもっとも多くたずさわっている女性のみなさんのご苦労を、男性はもっともっと理解しなければならないと思います。

細い、小さなヒロッコとつきあって、なんだかヒロッコに教えられたような日曜日のひとときでした。おかげで、連日、免疫力の強い?ヒロッコを、サバ味噌煮缶づめを出汁にしておいしいカヤギ(貝焼き)でいただいております。

コゴミは味噌汁と和え物に、ナルコユリはその甘さを直に楽しみたくおひたしでいただきました。我が家の食卓にはこれから先ずうっと山菜が途切れずあがりつづけます。

気温の高い日あり、雨天ありで、成瀬川はそれまでの笹濁りからいよいよ本格的な雪解け濁流となり、川面はこの時期特有の荒ぶる表情へとかわりました。