異例豪雪の傷跡

今冬の雪で折れた我が家建物の軒の傷跡です。

同じ豪雪対策本部を設けた積雪量の年と比較して異例の豪雪となったのは「いっき降り積もりと低温続き」で、これが今冬豪雪の最大の特徴でした。

長い雪ぐに暮らしの中で、建屋に雪の被害をうけたのは我が家も初めて。損壊したのは落雪構造の納屋兼車庫の軒。トタンをばらしたら、予想したように軒先のタルキがほとんどといってよいほど折れていました。

落雪構造でも、勾配がゆるいために雪のすべりはあまり良くなく、それに加えて一気降り積もりとあの低温続きで雪が滑り落ちずに屋根にどんどん増えました。我が家では、落雪構造でも屋根に上がることができますので軒周りだけは何度も雪を下ろしたのですが、中央部は「滑り落ちるまでだいじょうぶだろう」と油断しそのままにしていました。

その侮りが失敗でした。ありったけ溜まった雪が滑り落ちる時、勾配がゆるいので余計に大きな負荷が軒にかかったのです。豪雪地帯なのに昔の大工さんも建築を依頼するこちら側も、軒が必要以上に長く張り出している屋根構造を良しとしたのです。こういう造りでは、屋根が雪の負荷に耐えられないのは当然のこと。

これは、豪雪の土地なのに、見栄えを優先し雪のことを重く考えない建築慣習が及ぼした負の結果といってよいでしょう。軒のこういう傷跡を見て、雪国で構造物をつくるときには、軒だけでなく、建物の、あるいは暮らしのすべてにおいて、たとえ幾年かに一度でも「異例の豪雪」を頭に入れた策が必要と教えられた今冬でした。この春先の横手平鹿・湯沢雄勝の大工さん、板金屋さん達は、こうした軒の修繕工事がとても多いようです。

▼暖かな陽射しの下、フクジュソウやバッケに続きチャワンバナコ(キクザキイチリンソウ)も咲き始めました。フクジュソウにはミツバチの仲間たちも寄りはじめています。春の野の花たちのまわり、雪上の粒々はノウサギの糞です。我が家すぐそば、小花たちが咲き若草が萌えるこの場所は、彼らにとって雪消の季節の得がたい彩食場のようです。