緑にひかれて

明日は彼岸の入り。里山のヒラ(底雪崩)に、木々の根開きに、土手のフクジュソウにと、目に映るいずこの風景にも雪解けの季節を感ずるようになった3月半ばです。

厚い雪に押さえられていた常緑の草木たちも雪解けにあわせて起き上がり、それまで白一面の里の原野は土肌が現れるのにともない緑の世界が少しずつ増えてゆきます。

その緑の仲間のひとつセキショウも、小さな堰沿いにようやく姿を見せるようになりました。各地の用水路がコンクリート側溝に置き変わった今、昔とちがい村では植生箇所がきわめて狭まり稀少な植物の仲間入りとなっているセキショウ。写真のセキショウは、側溝のない堰(用水路)にかろうじて残っている株で、こちらは、春一番の緑を拝みに毎年ここの植生地に通います。

セキショウの生える堰では、そこにかぶさった厚い雪がなくなり始め天井が明るくなったので、泥の中で眠っていたドジョッコが「春が来たなと」思い始めているはずです。昔のこれからは、雪の上に堰の泥をシャベルですくい上げる、童たちのドジョウ取りの季節でもありました。