令和二年度あきた県民文化芸術祭2020「あきたの文芸」の入賞作品を載せた「あきたの文芸第五十三集」が先月13日に刊行されています。
母の従兄弟(旧増田町吉野出身、由利本荘市在住)のTさんが時々これに応募していて、今回は短歌と俳句部門で入賞し、その掲載誌を贈っていただきました。
俳句部門はひとつの主題で七つの句をつくるもの。Tさんは、旧吉野鉱山の廃鉱跡を詠んだ七連の句で奨励賞を受賞しています。
実は今日、身内のことをあげながらこの「秋田の文芸」をとりあげたのには訳があります。それは、今年の入賞作品の中には、村内滝ノ沢出身で現在昭島市に在住の佐藤清助さんのエッセイが、最優秀賞に輝いていたからです。佐藤さんからは、そのことをずっと以前にご連絡を受けており、受賞作も読ませていただいております。佐藤さんは、定時制高校の同窓生で私の先輩にあたります。
小説・評論、詩、短歌、俳句、川柳、エッセイの6部門で、最優秀賞、奨励賞、入選、さらに25歳以下の文芸活動を応援するグリーン賞に分けて競われる芸術祭。それは半世紀以上の歴史ある作品公募活動で、入賞するだけでもたやすいものではないといわれますから、最優秀賞は文字通りの栄誉です。
ほかにも、今回の入賞作品のなかには、俳句部門で横手市のOさんが詠まれた句に「成瀬水力発電所」が登場していました。それはもしかしたら平良の発電所のことでしょうか。
先日は、成瀬川流域が生んだ漫画界の巨匠・矢口高雄さんと、高橋よしひろさんを讃えながら、豊かな漫画文化創作の土台となったであろうこの流域の山と川のことを少し記しました。それに続いて、たまたま今年の「秋田の文芸」では、成瀬川流域に関わる人々、あるいはそこに関わる作品が入賞されていたことをこうして記すことができる。流域の山里は、どうも、すぐれた文化、芸術を生み出す何かの力があるようで、そんな感想をもちながら「秋田の文芸第53集」を読んだところです。