雪の1月。我が家の冬のくらしでは、塩蔵や瓶詰めで保存していた山菜やキノコたちが再び登場し、食卓は春から秋までの自然が育てた産物で季節感いっぱいになります。
この土地でもっとも広く楽しまれる冬の山菜やきのこ料理といえば、やはり村の伝統食といえる「納豆汁」がまず筆頭にあげられます。我が家では、新年最初の味噌汁は何十年もの間決まって「納豆汁」。おそらく村の大方の家々でもそれは同じでしょう。その「納豆汁」の具に欠かせぬ山菜はワラビで、キノコはサモダシ(ナラタケ)がもちろん必須。サモダシが不作の年は一年前の塩蔵ものや瓶詰めを用い、稀にナメコで間に合わせる時も。サモダシは村人(我が家)にとってはそれだけ重要な食材なのです。
年越しの日から大人数で何日も食べられるように大鍋で煮られるのはでぇごじる(大根煮もの・おでん)。これにも山の産物は欠かせずで、こちらの山菜の顔役はサグ(エゾニュウ・シシウドの仲間)。そしてキノコは、肉厚のネズミハギモダシ(ウスムラサキホウキタケ)とアガキノゴ(サクラシメジ)、シトリテデ(ウラベニホテイシメジ)、ムギダゲ(ムキタケ)、ナメラコ(ナメコ)、ヤマドリモダシ(クリタケ)が顔役となります。
お吸い物には、時を替えてオオヒメジ(ホンシメジ)やハタケシメジ、ミャゴ(マイタケ)、コナラ(シモフリシメジ)、シシタゲ(コウタケ)が登場し、ほかにもクリフウセンタケ、カノガ(ブナハリタケ)、ラグヨウ(ハナイグチ)など、瓶詰め、塩蔵のキノコたちが料理の品をかえて冬の食卓をにぎやかにしてくれます。何年もの間味噌漬けにされ飴色になったノギウヂ(エゾハリタケ)とトビダゲ(トンビマイタケ)も我が家(私)にとっては
欠かせぬ食材です。
写真は、塩出しされたウスムラサキホウキタケ、サクラシメジ、ムキタケなどと山菜のサグです。
こうやってあげてみると、貯蔵ものが豊富な豪雪の村の冬は、食が意外と豊かなことに気づきます。昔は、これに野の鳥(主にカモやヤマドリ)や雪原に生きる獣(主にノウサギ)たちの肉も加わりましたから、自然食ではもっと豊かだったといえます。