我が家のまわりの小さな沢や成瀬川は渓流魚たちの宝庫。
秋になって水が細くなると、それまであった川筋の地上の流れが見えなくなり、所々の淵にあった流れの入り口とはけ口の流れふたつが閉じて、川原の底を伏流水が通るようになります。
そうなると、大小の淵に渓流魚たちがとりのこされてしまいます。11月末頃の雨天続きで川が増水するまでの間は、池のようになった淵にしばらく閉じ込められてしまうのです。この頃を見計らい、童を連れて淵に生きる魚観察に出かけるのは楽しいもの。いわばそこは自然がつくった浅くて小さな池となります。
4日に訪れたそんな淵で童らが歓声をあげたのは、500匹ほどはいるとみられた今年夏に産まれた大きさ3~4㌢のウグイやアブラハヤの子たち。童らが長靴で入れるような小さく浅い淵、淵といっても池のような狭いところに小魚が群れをなしているのです。魚たちは上下流の流れが完全に閉じている淵(池)なので、どこにも逃げられませんから観察にはうってつけです。
小さな淵ですが、ちょうど海や水族館でアジなどの小魚が大群となっているあの様子に似ていて、その群れは大きな魚がいるようにも見えます。淵にはやはり取り残されたヤマメやカジカも見られます。
童らは魚をながめ、成瀬川の本流の淵で石投げをしたり、砂に絵を描いたりして、これからは日が経つごとに少なくなる晩秋の陽射しのひとときを過ごしました。