今回は始めから遠出は計画になかった。それでも丈ノ倉にリュックを置き、柏峠方面まで足を向け、途中から引き返した。
昨年に親子グマたちと出会えたクラ(崖)で、穴口にある木に母グマが上ったブナには爪跡がいっぱい見られた。穴から3㍍ほどまでは近づいたが穴の確認はやめた。クマの居そうな気配はないが下は崖なので予断と油断は禁物。
「もしかして」と、少し離れて穴口をしばらく眺めていたら、クマではなくカモシカがお出まし。穴のそばのダシ(雪庇)から崖に下りて食事を摂りながらクラを歩いた。越冬穴のすぐそばでカモシカが何も警戒の姿を見せないということは、やはり、クマはもう穴から出て小出川下流か大深沢や明通の草木が萌えはじめたクラに移動したのかもしれない。
昨年もう一つのクマを目にした穴口にもクラにもクマの姿はない。こちらも、穴の中を確認したかったが、穴にいるかいないかまだ微妙な時期なので、これも崖下転落を怖れて止めにし、帰路についた。
今回は帰りも殆ど往路と同じコース。通称ゴンパの秋田側のブナ林を通り、いいかたちのネコヤナギを目にし、天敵に襲われ毛皮だけのこされたノウサギの骸跡をながめ、カントリーパークの除雪や国道へのガードロープ設置にうごく機械を遠目にしながら下る。下りの最後にはまたタゲマルギッパのクラで午後の陽に萌える春紅葉をながめ、車到着は2時。
時間があるので、そのまま帰宅せずに、この日正午に開通となったばかりの国道342号を上り、途中で、いま上がってきた仙北街道の尾根を明通沢越しに五里台から眺め、ビューポイント付近で、午前とはちがった方向からまた東山を眺める。車社会だから、午前に柏峠まで上がり、午後には下に戻って今度は国道から東山がのぞめるのだ。
そのまま北俣沢まで進み、待ちかねていたイワウチワの群落に目をとめる。雪解けが早くて、いつもの群落は花が少ないが、まずまずと思える盛りの花群落を写真におさめ、この日の遠出をしめくくりとした。
以上が、先月24日の仙北街道行きと、同じ日に車で今度は下の国道から街道をながめつつ北俣沢まで上がった日の村の春景色です。
▼28日、雪解けが早いこともあって、わが集落ではもう「田のくろへずり(畦削り)」に精を出すSさんの姿が見られました。「なんぼがずづ、やっておがねば」と語る85歳のSさんの背景に、里山の春紅葉がひろがり、この日も、まんず、ええ空でした。
連休中は風邪がぬけず農作業はクロヘズリ(畦削り)など少々にし養生の日々。夏空のような下での畦削り。カタクリに囲まれ、残雪に腰掛けての一休み、その気持ちのいいこと。