平成最後の年を振り返って(その3) 

10月も半ば過ぎ、それまで人々を惹きつけていた須川高原や焼石連峰の紅黄葉が終わり、紅葉前線はブナの森や里山へ下りてきます。

景勝の赤滝、天正の滝、合居川渓谷の断崖「いずくら」が紅や黄のオールカラーに染まるのはこの時です。

赤滝のまわりはかろうじて樹木が残っていますが、ダム堤体工事が本格化した外縁の一部は林がすべてなくなりました。沢に残った真新しいブナの伐り株が印象に残りましたので記録しておきました。四季を通じて沢歩きで楽しませていただいた近くの小沢も昔の面影はなくなりつつあります。それでも、この範囲で最も大きなブナの木は今年もまだ倒されずにデンと立ち続けています。周りの木々が無くなったせいでしょうか、堂々とした大木に変わりはありませんが、以前とちがい一抹のさみしさを感じます。

訪れる度に参詣する赤滝の古びた小さな社。どこのどなたかわかりませんが信心深い方なのでしょう、お酒、おまんじゅう、お餅が、賽銭と共に供えられておりました。


 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

里山が紅葉の盛りを終えようとする頃になれば、我が家前の小沢に成瀬川からイワナが遡上しはじめます。イワナの産卵を見る頃は晩秋のきのこたちの出番です。

里山ではヤマドリモダシ(クリタケ)、コナラ(シモフリシメジ)が人気の筆頭格で、深山ではナメラコ(ナメコ)、ムキタケが一番人気です。

我が家の周囲300㍍ほどの林もこの季節はキノコの宝庫。とくに草木の葉っぱが落ちて歩きやすい晩秋から初冬は、童といっしょに、ナメコ、ハタケシメジ、クリタケ、エノキタケ、ムキタケ採りなどを毎年いっしょに楽しめます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

落葉後の11月、積雪前のブナの森や里山は先にお知らせしたばかりです。葉っぱが散った森や沢は見通しが遠くまで利きやはり最も歩きやすい時。最上級のナメコをめざし初冬の森を歩きます。初雪後の天正の滝では、雪上に残されたクマの足跡のそばに、凍りついたナメコが成長を続けていました。


 

 

 

 

 

 

 

深山では根雪を見るようになった12月、里にも度々の降雪があります。雪の気配を感じたのか、ユギノシタキノゴ(エノキタケ)が発生の量を多くします。


 

 

 

今年は、久しぶりに県境の尾根近くへ初冬の雪上歩きに向かいました。その際、ツキノワグマの足跡をたくさん目にしましたが、そこは私も長年駆け回った狩猟現場でもあります。そこでなんと、捕獲された直後のクマが倒れている場面にも突然出くわしました。

メスのクマにしては大きく、推定80㎏ほどとか。村では今シーズン最初の狩猟によるクマ捕獲ということです。クマのほとんどは冬ごもりを終えましたが、やはり例外もいるらしく、25日、ビューポイント近くの国道を横切り東山方面へ向かった足跡も見られたそうです。

さて、こうして一年を振り返ってみたら、これはまるでキノコだよりのようなものです。国内有数の豪雪の村は世界有数の豪雪の村ということになります。その豪雪は、豊かな山の宝、里の宝を私たちに授けてくれます。その宝に恵まれ日々を楽しめるのはこの上ない幸せで、そういう宝の村を私はとても誇りに思います。

天恵の幸、私のキノコだよりが終わる頃になれば、例外のうごきをするクマもそろそろ完全な御用納めです。今日は公務の社会も仕事納めです。1年間のおつきあいに感謝を申し上げ、来年が安寧な年でありますことをお祈りいたしまして、今年のささやかな綴りを閉じます。ありがとうございました。