豪雪の村で生きるには、人間にとってもなかなかの覚悟がいりますが、野の生きものたちにとっての雪国の冬は、命の糧を得るうえでわれわれには想像できない厳しさがあるように感じます。
先日朝、役場へ向かう通りすがり、ウルシの実を食べている数羽のカラスを見て、「ほほう、カラスも、ついに、柿の実を食べ終え、漆の実にあつまるようになったか」と、かれらのおかれている食の厳しい季節到来を思いました。
雪国に生きるカラスやヤマドリなどやや大きめの鳥たちにとって、寒中の食をささえる最後の大切なささえのひとつがこのウルシの実。
むかしの狩人たちは「ヤマドリを獲るなら、ウルシの木へ向かえ」とよくいったもの。主に朝と夕に食事にむかうヤマドリなどは、一本のウルシの木に幾羽もの群れで飛来、ゆっさりの房実を食べていて、それを「下から順番に撃てばみんな獲れる」などと、冗談まじえで我々は教えられたものです。(ただし、メスヤマドリは狩猟禁止)
昔は、塗料としての樹液採りでウルシの木は大切にされたものですが、狩人たちにとっても「あそこのウルシの木は、誰それがヤマドリを獲る木」としてお定まりの木があり、それぞれの集落に幾本かあるウルシの名木がありがたがられていたものです。
そのウルシの木にカラスも集まるようになったのです。自然から淘汰されるか生き残れるか、これから春までの彼らの本格的な生存をかけた日々がはじまったといってもよいでしょう。それだけ厳しい雪国の2月入りです。
▼今日は仙台の国交省東北地方整備局へ、明日は都内で政府省庁、国会へ、山形のみなさんと要望活動です。