むかし、田植えが「結いっこ」と呼ばれる共同作業で行われたころ、「サヅギ」が終わればヨデ(さなぶり)がつきものでした。ヨデは慰労の宴、豊作を願う祈りの宴というもので、それぞれの家が、手作りの料理を並べてにぎやかな酒宴が行われたものでした。
母の実家のヨデでは、振る舞いにつきものの料理として、まずツブ汁(タニシの味噌汁)とツブとニラのなま酢料理があり、それに必ずといってよいほど並んだのがミョウガのおひたし。
ミョウガの新芽が食べ頃になると、「おっ、むがしの、ヨデの頃だな」と往時を偲びます。新芽が大好きなので、これからしばらく我が家の食卓にミョウガは並び続けますが、タニシに出番はありません。たんぼには昔と同じでたくさんいるのですが、泥を吐かせたり洗ったり、食べるまでにいろいろと手間取るのでみなさん敬遠しているようです。
さて6月も半ば。きのう朝5時前たんぼに出かけたら、そばの森からキョロロロロロローンと鳥の鳴き声が聞こえました。今年初めて聞く火の鳥・アカショウビンの声です。今年もまた渡ってきたのです。声を聞きながら歩いたら、こちらには今年はじめて見るカタツムリの姿も。6月も、生きものたちのいろんな変化がある季節なのですね。