夜朝の涼しさ、適度な雨天と陽射しが続く9月はじめの村。
こういうお天気になると森の妖精・キノコの仲間たちの顔ぶれが一つ二つと増えてきます。
食べられる、あるいは食不適、または毒ということは別にして、キノコの世界もなんと多彩なもの。わが家のまわり里山の森に少し入っただけで見られた特徴的なキノコ3種を今日はご紹介です。もちろんこれら以外にもたくさんのキノコはありました。
最初は、この前もご紹介しましたホウキタケの仲間のハギモダシ。これをハナホウキタケと呼ぶガイドブックが以前は多かったのですが、最近はハナホウキタケとは別けて「ベニホウキタケ」という名でお知らせする紹介本もあります。たいてい毒か、食不適とされ、「用心のため食べるのはご遠慮を」という言葉がならんでいます。もちろん、わが家は、あればいくらでも採り、毎年おいしくごちそうになっています。ホウキタケの仲間は食、毒の判定がむずかしいのですから、素人判断は禁物です。
もう一つ、食、毒の判断がむずかしいキノコの代表格がイッポンシメジの仲間たち。とくに、これから出てくる毒のクサウラベニタケやイッポンシメジと、食のウラベニホテイシメジは、姿形があまりにもよく似ていて、毎年キノコ中毒の報道例で知られるキノコ。
写真のイッポンシメジの仲間も、茎がじょうぶでいかにもウラベニホテイシメジらしく食べられそうですが、これはおそらく毒でしょう。茎が堅いですから毒のクサウラベニタケではないようですが、毒のイッポンシメジともまたちがうような姿です。こんなキノコがもしあったら、「おいしそう」と、たいていの方は手を出してしまいそうなキノコです。
私も手をかけましたが、出ている場所、笠と茎の色と形がウラベニホテイとはちがっていましたので「これは、毒」と手をはなしました。それにしても、なんともいい形、食べられそうなキノコではないですか。
最後は、チチタケ。わが家では「チンダゲ」とよびます。傷つければそこから乳液が出るからチチタケ。食べられるキノコですがそれほどおいしい味はなく、村ではほとんど採る方がいないといってよいほどに不人気のキノコでしょう。関東のある方面ではよく食べられるキノコといいます。キノコや山菜は、国内、世界各地によって好みに対する人気、不人気の別がまことに大きい世界。食の文化をこういう世界から知るのもまた楽しいものです。