里近いブナの森にイワウチワ咲く

過ぎた休日、晴天に誘われ1時間ほど沼ノ又の清流に向かいました。目的はブナの森に咲くチヂザグラ(土桜・イワウチワ)の花。

「そろそろ咲いただろう」と思った通りで、沢沿いの急斜面、雪解けの最も早い箇所に少しの群落が花開いていました。

地面が比較的平らな所はまだ雪解けが遅く、森全体の群生がいっせいに花開く様子はもう少し先となりそうでした。今日辺りなら花の範囲がもっと広がっているでしょう。

この日向かったのは、午後3時頃ですが、清流はまだ本格的な雪解けとならず、沢の水量は午後になっても濁らずまだそれほど増えていません。なので、この日はどこでも簡単に沢を越えられます。そのおとなしい沢も、きのう、おとといあたりからの夏日でいっきに雪解けが進み、午後の沢渡りはだんだん危なくなりました。4月の下旬近くなれば深山も雪解けが本格化し、これらの沢も荒ぶる濁流となり簡単に渡渉はできなくなります。

沢には、はるか昔からヒラ(全層雪崩)が発生する危険箇所がいくつかあります。ヒラは斜面の土を巻き込んで崩れ落ちるため(写真)、下方にはたくさんの土が溜まります。そこは肥えた土が厚く積もるので品質のよい山菜がよく生えます。「山菜を採るなら、ヒラ落ちに向かえ」はハギミ(山菜採りを生業とする人々)の方々の常識なのです。

この沢には、村内ではめずらしい国有林に咲くフクジュソウが見られる所。雪解けが遅い今年、それでもフクジュソウが好む陽当たり斜面は雪の消えるのが早く、ポツリポツリと咲く花が観られました。ここにはカタクリもいっしょに咲くのですが、さすがにカタクリはまだ地面から芽のひとつも出していません。