まだ2㍍前後の積雪の村ですが、ここ幾日かの寒気の緩みと雨天により集落すぐそばの里山ではヒラ(底雪崩・全層雪崩)の発生が増えています。
地面の雪をそっくりそのまますべて滑り落とすヒラの跡には、黒い土肌が斜面にむきだしとなり、そこには多年生の緑の草株がいっきょにあらわれます。それを見逃さないのはカモシカやノウサギたちで、これからのヒラ跡では、日中に活動するカモシカが草や柴木を食んでいる姿がよく見られます。
地肌が見えた斜面にはこれからの陽射しが真っ先に注ぎ、温められた地面には野草の新芽もいち早く芽を出します。そうなるとそこの急斜面は、生きものたちに加わって山菜採りの人々が向かう場所ともなります。雪崩の急斜面は雪庇からの残雪崩落や落石もあってとても危険なところですが、山菜採りにとってはとってもありがたい「天然の畑」でもあるのです。
2㍍越の積雪なので、我が家前の小沢もほとんどはまだ厚い雪でふさがっている状態です。でももう3月、寒気の緩みとともに沢を覆っているこの雪も次第に融け落ち、いったんは一年でもっとも水が細くなった流れも日を増す毎に水が増え流れの全体が見えるようになるでしょう。人々は雪がとけて川がよく見えるようになることを「沢、明いだ」「川、明いだ」と言います。
ところで、きのう1日で71年をすっぱりと生きたこちら。今日からは数え72歳のはじまりです。3月1日はむかしから県内各高校の卒業式がいっせいにはじまる日。今年もこんなコロナ禍ですのでどんなかたちの式典となったか詳しくは分かりませんが、卒業生とご家族のみなさん、そして学校のみなさんおめでとうございます。
この3月1日には、わたしが季節指標のひとつとしているマンサクの花を毎年思います。なぜマンサクかというと、3月1日になれば、国道342号の成瀬川沿い増田「真人へぐり」(ヘグリは川沿いの急斜面を歩く道のこと)」にマンサクが咲きはじめるからです。
その年の春の訪れが早いか遅いか、この「ヘグリ」に咲くマンサクの花で私は季節の進みを覚ります。果たしてきのう、今年は花が咲いていたのかどうか。2月があまりに長い期間寒かったので、今年の開花はおそらくまだだと思うのですが。