頂上到着後からしばらくは、星空もあれば、眼下には時折の雲海もあり、栗原市耕英地区や観光施設、東には遠く一関市などの街の灯が見え、西には秋田側の灯りや眼下には栗駒山荘や須川高原温泉の宿の灯りがよく見えます。つまり、ご来光を拝むにはまたとないお天気。「こりゃー、いい日の出が拝めるぞ」と、ついよろこびが言葉になってしまいました。
ところがです。ところが、夜が白みはじめるにつれてどうも地平線に近い空に雲の層が見え始め、それがだんだんと多くなります。
しんぶんを見ての秋田の日の出時間が4時少し過ぎだったので、その時間を見積もり、4時を過ぎてからは、待つ、待つ、待つのに、いっこうにお日様の姿が見えません。いちばん明るい東の空をなんぼながめてもそこには雲が帯のようになっています。「こりゃあ、ダメかな」と、私だけでなくおそらくみんなが思ったかもしれません。「昼間になったら、拝めるかな」などの冗談も飛び出しました。頭の上の空は晴れなのに、太陽がのぼりそうな層だけに雲が厚くあったからです。
そんなこんなで、わずかになってしまった期待と、あきらめ感9割ほどまでの心になっていたその時です。予想もしなかった雲のまっただ中から紅の太陽が突然姿を現しはじめたのです。これには驚きました。こんなことも日の出にはあるのです。「恥ずかしくて、時間をかけたのではないか」などと思いたくなるほどに待ちに待ってのご来光です。
頂上の社、ご来光、荘厳な一瞬に歓声があがり、そして沈黙。またとない厳粛なシーンが始まりました。「のぼって、月と星をながめられただけで満足」と、半ばあきらめかけていた一同に天からのこの上ないご褒美です。
雲があって、ご来光を拝めたのは予想よりはるかに時間を経ての4時36分頃。たっぷりと朝の天体ショーを眺め、軽く朝食を済ませ、晴れ空の下、360度の展望を眼下にして大満足の下山開始です。一同、また帰って朝からの仕事が待っているのです。
頂上付近ではタカネツリガネニンジン(ハクサンシャジン)がまっ盛り、下るにつれてシロバナトウウチソウ、キンコウカやイワショウブなどの花々や実が登山道沿いに。朝霧にかすむ焼石連峰も眼前に。往きも一服した昭和湖で帰りも小休憩。駐車場到着7時少し前。「天運がよかったなぁ」のご来光山行、今回は大がつく満足感で閉じることができました。
一睡もしないとはまさにこの日のこと。ですから、帰ってまた野良仕事をしたりといつものように働きましたので、やっぱり30日は少々くたびれました。みんな同じだったでしょうが、その疲れの多くは、ご来光やお月様、お星様、花々と、絶景のすばらしさが消し去ってくれました。
▼昨日は、広域市町村圏組合の臨時議会へ。再び、副議長の職務に就くこととなりました。