自宅や作業小屋は二度目、一部の農作業小屋は一度目の雪下ろしをきのうですべて終えました。一度目の屋根は一時2㍍30㌢ほどの積雪があり、おとといときのうは小雨がその雪上に降りました。このため、ただでさえ重い屋根雪は雨水がしみ込んでさらに重くなりました。
村内では、きのうまでに雪を下ろした屋根はいいでしょうが、一度も下ろさずに雨に打たれた建屋は重みできしみ、うめき声をあげているような状態に見えます。
雨天の前でも、2㍍越の積雪で軒を損壊した住宅や建屋が方々であったらしく、雨天後はそれがさらに増えているようです。暖気となり屋根雪がすべりやすくなったので、各地で大きな人身事故も発生しています。豪雪の土地で生きるには、雪の状態をよく判断することがとても大切です。事故を未然に防ぐため、みんなで注意し合いましょう。
▼今度来る寒波を前に、エド(池)に注ぐ流水状況を点検しておこうと用水路取水口のゴミ除去にむかいました。池に取水する岩井沢のこの細い水路は、集落の流雪溝に注ぐ幹線用水路「遠藤堰」の流水を補充する補助的な取水源でもあり、小さいながら集落全体の大切な水路でもあります。
2日間の小雨も加わってなのか沢の水はまだ充分にあり、流れに石を並べて水が水路によく注ぐようにして帰りました。取水口までは遠いのでカンジキ履きでの雪漕ぎは年々体にきつくなっています。
それでもきのうは雪が雨で締まった後なので、カンジキを履いたら膝下近くまで雪に足が沈むだけ。雪漕ぎとしては比較的楽なほうでした。
ところで、そうしてカンジキ履きで雪上を歩いていたら、前方に、これまでみかけないような動物の通り跡・足跡があります。
通り跡・足跡は、一昨日からきのう朝頃にかけてと推測される雨天時のもの。やや締まった雪なのに深くラッセルしたような跡で、それも一匹ではなく複数らしい跡です。
深い新雪の時なら、カモシカも胴体を雪に引きずらせて漕ぐような通り跡・足跡をつけることがあります。しかし、こんな締まり状態の雪ならカモシカは胴体を引きずるような跡はつけません。それに、田んぼの窪地に水が注いで土の出ている場所では泥を掘り返した跡もあります。これは、春以来、我が家のまわりや村内各地で私もよく見たイノシシ特有の泥に入る行為跡でしょう。
30年以上、雪の山で猟をしていたこちらが見る、雪上ではこれまで見たことのない動物の群れらしい通り跡、足跡、泥場の行為跡。これはまちがいなくイノシシと思われます。足が短く重いので胴体が雪につかえ、雪上には写真のようにイノシシの胴体幅の溝ができるわけです。(私は30年以上狩猟をしていましたが、イノシシをこの村で見たこともなく、これだけ雪深いところでの足跡・通り跡も見たことがありません。生態も、ほとんど知りません。)
群れらしいイノシシは、西北の杉林から出て、林道と岩井沢を横切り、また南側の杉林に入りました。豪雪の土地なので通り跡がある沢筋の狭い範囲で棲息しているものと思われます。猟友会の責任者の一人には早速伝えておきましたが、この大雪処理で猟どころではないかもしれません。
雪の深い村では、通った跡がまことによくわかりますから、吹雪でなければ少しぐらいの降雪ではあの深い溝の通り跡は消えずに残ります。いずれ群れは、雪が深いのでそんなに遠くには歩けず、おそらく通り跡のあったごく狭い範囲の歩きやすい杉林の中や沢筋でエサを摂っているのだと思われます。したがって雪深いこの村でなら、通り跡をたどれば「捕獲するつもりなら、いともたやすくできる」と、まだ少し残っている私の狩猟カンはとらえました。
春以来、我が家のまわりでも泥や土をかき回した棲息跡を残し、時には我が家前で複数の方々に目撃もされたイノシシ。ジビエとしては最高の季節のイノシシ。脂のよくのっているだろうイノシシの群れは、まもなく、ごくたやすく捕獲されるものと思います。ただし、どなたかが猟に出かけさえすればのことですが。こうして雪深で簡単に捕獲できる時に早く狩ってもらいたいものです。