ナラ枯れ病で山が悲鳴

今年もナラ枯れ病に冒された山が目立つ季節になりました。

山形方面から県内南部に侵入したナラ枯れ病は、成瀬川の下流域から村内にも押し寄せ、いま被害がもっとも目立つのは発症始まりの滝ノ沢から田子内、平良、肴沢、岩井川地区です。

同じ里山でも、標高のやや高い郡境付近の林はミズナラよりもブナが多くをしめているので山は健全な夏の緑をたもっています。しかし、標高500㍍ほどより下の山は広葉樹ではミズナラがかなりの面積をしめていて、そこがご覧の通りの褐色の山肌となっています。

この木の病気は、進行速度の速さと被害規模の広大さという特徴があり、わずかばかりの防除対策ではこの病は防ぎきれません。対策の1つとして地区によっては被害木を伐倒活用する対策もとられていますが、その際には皆伐方式(樹種などに関係なく山全体の木を伐採)で山全体の木が伐られるため、保全や計画的な森林利用という観点からはそういう一律策への懸念もあるようで、防除対策のむずかしさをあらわしています。病気が、いっきにあまりにも広い範囲に蔓延してしまうからで、それは、人間を脅かし続けている猛威の新型コロナウィルスにどこやら似ています。

山が濃緑の季節になると葉の枯れイコール木の枯れ死や半枯れ死が目立つだけに、それらのそばにあって葉が緑でもすでにナラ枯れ病菌にとりつかれているナラの木たちが悲鳴、うめき声をあげているように見えます。褐色の葉色はすでに病が進行して死んだ木か、枯れ死直前の木なのでしょう。

ナラ枯れ病被害の現場をずっと以前にわが村議会がはじめて視察したのは山形県でした。以後、山形のみならず被害はひろがり、仙台キノコ同好会の方々によれば、宮城方面でもナラ枯れ被害が急速に進行しているようです。ほかの東北各県も被害の状況がひろがっています。平成から令和にかけての日本の里山は、ナラ枯れによってナラの木の多くが失われるという自然にとっても歴史上異例の年代となりそうです。