田植え真っ盛り週間に入る

いつの年も5月下旬のほぼ10日間は、土、日曜をはさんで村の田植えが真っ盛りとなる週間です。

その始まりのきのうおとといは、土曜日にこそ午後に一時の雷雨があったものの、きのうは真夏のような陽気で田植えには絶好のお天気となりました。

我が家は、予定を一日早めて金曜日午後3時から植え作業をはじめ、土曜日でまずは春の農繁のしめくくりとなる田植えを終え、きのうは初期の除草剤を散布しました。村内では、わが集落だけでなく田子内地区から椿川、大柳まで、過ぎた週末から植え付け作業がいっきに始まりました。来週日曜までに田んぼは早苗の育つ風景へと一変し、山里の田園には一年ぶりにカエルの鳴き声が響き渡るでしょう。

植えつけの終わった田んぼには、耕起作業の始まりであちこちへ「一時避難」していたイモリたちも戻り「やれやれ、これでやっと落ち着いた」と思っているようです。我が家の田んぼは、タニシ、イモリ、ドジョウ、アキアカネ、各種カエルなどなど多くの生きものたちの住み処ともなっているのです。

早苗田のそばのレンゲツツジも満開となり、遅れて咲くヤマツツジもつぼみをだいぶふくらませてきました。焼石連峰の名峰サンサゲェ(三界山・1380㍍)の頂き近くまで木々の芽吹きが上りつめ、残雪と萌葱の緑の色対称が鮮やかな風景として目に映ります。

三界山麓すぐの沢は天正の滝の源流ともなるのですが、合居川渓谷最上流部のそこには残雪の白さに混じって「よろいのクラ」と呼ばれる崖があり、その脇には私が勝手に「よろいの滝」と呼ぶ河床面に土の多いめずらしい滝があります。(写真のなかに滝は入っています)今はまだ残雪の白さに滝の白さが混じっていて、ここに通い慣れた人でないと遠目ですぐにはわかりませんが、もう少し経って雪がなくなれば、滝の白さだけがはるか高所に浮かび上がります。わが集落から眺めるならそれは最も高い所にある滝となります。今でも双眼鏡ならすぐに滝の存在がわかりますが。

家族は農作業の合間に、転作田25アールほどに栽培しているワラビ採りもしています。ワラビも、毎年田植えの頃に真っ盛りをむかえるのです。

田植えを終えた日の夕餉、妻は神棚に御神酒を献げ、滞りなく春作業を終えたことに感謝しつつ出来秋への思いを込め「穣作となりますように」とみんなで祈りました。

転作田にはウルイやミズ、ギョウジャニンニクも植えられ、脇の土手でもゼンマイやミズを栽培しています。その土手にはシュデコ(シオデ)とならんで山のアスパラガスとも呼ばれるオオナルコユリの仲間が食べ頃で顔を出しています。この仲間の山菜は自生最適の条件がなかなか厳しいらしく、そう多くは手に入らない種です。山菜のなかでも甘みがとりわけ濃く、茎のボリュウムもあるので、「山菜の王者格」にもよくあげられます。私も、大好きな山菜のひとつです。

▼自粛要請により休業していた村の「夢なるせ直売所」が22日、今シーズン初のオープン。コロナ禍や国道397号が閉じているために車の通行量もお客さんもそれほど多くはありませんが、それでも、342号や県道仁郷大湯線は開通しているため須川高原への行き帰りの方が結構おられて、直売所らしく久しぶりに人の出入りが見られる光景を取り戻しました。