早春に猛毒キノコもお出まし

過ぎた週末から休日にかけては、新型コロナ禍による休校などもあり訪れていた童たちと過ごす時が多くなりました。

日曜日には「もしかしたら畦削りができるかも」と田んぼへ。こちらが作業をしている間に、童たちには圃場に接する水路で生きもの捕りをさせようとその準備もしてです。

やっぱり畦は濡れすぎていて土削り作業はムリ。童たちの生きもの探しではそんなことはおかまいなしですから彼らは捕りに夢中。

水路の泥の中には冬ごもりをしたたくさんのドジョウが隠れていますし、イモリやタニシもいっぱい。陽射しがあるかと思えばたちまちのうちに降雨と、変化の激しいお天気で長居はできませんでしたが、わずかの時間ながら童たちは生きもの捕りに満足したようです。

ほかにも河川敷に出かけて笹子(ネマガリタケの細い竹の子)やコゴミ、生長して少しトッコ(茎)を見せ始めたアザミ、ワサビ、そして童が採りを好むユギノシタキノゴ(エノキタケ)に向かい「キノコさんキノコさん、出ておいで」などといいながらキノコ探しも。

▼ところで今回のキノコ探しでは猛毒キノコ(最後の写真)とも出会いました。そのキノコの名はニガクリタケ。県内でも中毒死例がいくつかあります。東北では過去に一家6人が食べ、うち子ども4人が亡くなるという悲惨な事故例も伝えられる猛毒キノコです。

このキノコ、ほぼ一年中発生するようで、豪雪の土地では春から晩秋、初冬まで見られます。秋から初冬にかけてはごく普通に目に入るキノコで、ちょうどサモダシ(ナラタケ、)やヤマドリモダシ(クリタケ)、ナメラコ(ナメコ)、ユギノシタキノゴ(エノキタケ)などと発生時期が重なり、発生場所もほぼ同じ、場所と種類によっては同じ木に発生していることも時々あります。そういうこともあって注意がとても必要な猛毒キノコです。

しかしこの猛毒キノコ、「春に出る」といっても、早春の4月に見かけたことがこちらにはありませんでした。それが、こうして顔を出しているのです。確認のために少量を口に含み噛んでみたら、名の通りで苦みがジワーと口中に広がりました。まさにニガクリタケです。前述のように最も多くの方々に採られる食用キノコたちと間違われたり、混じったりして採られることがあり得ますから、ほんとに要注意です。

とりわけ初冬と早春は、ユギノシタキノゴ(エノキタケ)の幼菌と間違いやすく、二つのキノコの鑑定に絶対の自信がなければ、ユギノシタキノゴ採りは避けたほうがよいでしょう。相手はこんなに小さき姿ながら、人の命を奪える猛毒をもっているのですから。村であまりユギノシタキノゴを採らないのは、長いキノコ食の歴史のなかで、そういう毒種への警戒感があるからなのかもしれません。