雪解けが「ひと月早い」村

最初の写真は、東日本大震災の年の4月27日、春山登山で大森山方面に向かった時に見下ろしたわが地元集落の残雪風景です。その年に限らず、豪雪の村の4月末といえばこれぐらいの残雪風景はあたりまえです。

それに比べ異常に雪が少なく、早すぎる雪解けの村にくらしている人々は「今年は雪解けがひと月早い。こんなことは初めて」などと語り合っています。

二枚目からの写真は、過ぎた3月19日の村内やわが集落の田んぼや日向の里山、さらに地元にある龍泉寺境内の墓地周囲の風景です。2つを比べれば、まだひと月早いのに例年の4月末と同じ残雪状況で、今年の少雪の異常さは歴然です。なにしろ、村の簡易積雪観測では、岩井川で積雪ゼロとなったのが3月13日、田子内で19日です。

岩井川、肴沢、平良、滝ノ沢と流域を下がるにつれて南向きの里山は雪がほとんど無くなり、田子内橋からのぞむ郡境の大日向山は、例年の4月半ば過ぎのような残雪状態です。つまり、もう、いつクマが冬ごもりから覚めてもおかしくないほどに雪消えが進んでいるのです。3月半ばで雪がなくなり、花木の冬囲いをこんなに早く解せたのも我が家では初めてのことです。

わが集落でもチャワンバナコ(キクザキイチゲ)が咲き始め、雪解けの早い河川敷の湧水脇ではハナウドの仲間が新芽を出し、天然ワサビもおいしそうな緑を見せていました。そばには、いつものユギノシタキノゴ(エノキタケ)とともに、ベニチャワンタケらしい真っ赤なキノコも。

小学校グランドの雪もこの日の前にすべて解け終わっていました。新型コロナ禍でなければ、子ども達はもっとも早い屋外野球練習などができたでしょう。が、「自粛要請」がつづいていて、そのまたとない機会もまだ活かせぬようです。

さて、山間のわが集落でも外気温が20℃まで上がった晴天のこの日は、田んぼや里山の雪がなくなった平野部や村の入り口方面から真っ白な焼石連峰がひときわ目立ちました。

▼過ぎた連休はあいにくの雨天続き。日曜午後は、いっせい休校から春休みとなった童たちを連れてちょっとの臨時学童保育で野外観察へ。

もちろん散策するのはいつもの河川敷、湧き水周辺。雪のないところが多くなり、雨天のため快適な堅雪歩きはできませんが、まだ藪とはなっていないので童でも地面をなんとか歩けます。小雨模様の中、湧水の淵で小魚をながめ、クレソンとノゼリ、ユギノシタキノゴ採りで少しの間自然に触れてもらいました。

キノコでは、今の季節にめずらしく、ジェンコシナダゲ(オツネンタケモドキ・越年茸もどき)もいきいきとして見られました(最後の写真)。これは秋ならごく普通に見られるキノコで、私はアシグロタケと同じようにうどんやそば、味噌汁の出汁にしたり、細かく刻み炒めて食べます。

「越年」の茸もどきという名の通り、昨年晩秋か初冬に発生し、雪の下で春を迎えたということのようです。そのためか、いつものジェンコシナダゲなら色は灰色が多いのですが、これは雪解けすぐで陽射しを浴びないためか、雪で色がさらされたのか白っぽくなっていました。