このブログを書き始めたのが2007年。 それからずうっと村の四季だよりを記してきていて、フクジュソウは春告げ花として真っ先に群生地の様子をご紹介してきました。
今年は、そのフクジュソウが、書き始めて10年以上経つ間では最も早く花を見せ始めています。写真に切り撮ったのは過ぎた22日ですから、おそらくその何日か前から花は咲き始めていたものと思われます。村では記録ものとなるフクジュソウの早咲きです。
そばには、おそらく村内ではここだけの植生かと推測される常緑のセキショウが少ない株で見られ、バッケもどんどん顔を出し続けています。23日の吹雪で花もセキショウも10㌢ほどの新雪に覆われましたが、その新雪は昨夜の雨でほぼなくなりました。
集落入り口の我が家の田んぼも20日前には畦をまた出していました。80歳代、90歳代のお年寄りの方々も「こただに雪のびゃっこだ(少ない)冬は初めでだ」と言います。記憶だけではなく科学的な統計でももしそうだとしたら、10年間ほどどころでない、およそ一世紀間隔でみても異常な冬を我々は過ごしたということになります。なにしろ世界有数のこの豪雪の村で、雪下ろしを一度も無しで済ませた方々もいた冬でしたから。
村内集落の里山に見られるこの季節特有のヒラ(底雪崩)も、今年は斜面の積雪が少なく規模の大きなものはほとんど見られません。これもめずらしいことで、今春は、雪崩の箇所に発生する山菜の発生時期にも一定の影響が及ぶでしょう。
桜の開花予想がされる時期となり、例年よりかなり早い開花予想日が報道されています。桜より早い梅の花は、やはり例年よりはるかに早く咲き始めているようです。豪雪のために遅すぎる春も困りものですが、雪が少なくて早すぎる春のおとずれも農家にとっては不安です。農作物、とりわけ果樹などに影響(萌芽や開花が早すぎるための霜害など)が及ばねばよいのですが。
▼毎年この季節になると、若い頃お世話になった相模原市のSさんから、お知り合いの方が作られている小田原産のミカンがとどきます。農薬をセーブして栽培されているミカンで、今の時期のミカンですからもっとも晩生の種なのでしょう、味は、晩生ですから格別。
こちらが二十歳の頃に過ごした神奈川の台地。そこでの冬を過ごしてみて、雪国との違い、うらやましさをまず感じたのは冬でも露地の畑で育っていた緑あざやかなホウレンソウでした。この季節になるとあのホウレンソウの緑が連なる畑を今も時々思い出します。それから50年近く経ち、今は村でも冬のビニルハウスでホウレンソウが栽培されます。時代はほんとに変わったものです。
▼発達した低気圧による台風並みの強風はこの季節のつきもの。23日は前が見えなくなるほどの吹雪が時折荒れ狂いました。でも気温はそれほど下がらず降る雪も少なく、南極のブリザードのような寒中の猛吹雪を何度も知る村人にとって、寒気の緩いこの程度の吹雪は幕下クラス。ただ、ビニルハウスや、雪がなくなったトタン屋根の風害はさすがに気にはなりました。その荒れ空も一日で去り、新たに積もった少しの雪も昨夜の雨でほぼ消え、今日はまた朝からおだやかな陽射しを受けています。