「県内一の豪雪」が村の特徴ですから、おかげさまで全面滑走ができているわがジュネス栗駒スキー場。
でも、連日の雪なし天気で「できれば、もう少し雪が降ってくれれば」と思っていたら、めずらしく雪寄せ作業をするほどの雪が20日には降り、その後もほんの少しずつ積雪は重なりました。
「恵みの雨」ならよくつかわれる言葉ですが、この雪はまさに雪を営業の頼りにしている立場のわれわれにとっては「恵みの雪」。スキー場にはさらに万全のゲレンデ状態を楽しむ人々が訪れ、晴天のきのう午後はゲレンデにシュプールを描くスキーヤーの姿が我が家前からも遠目に入りました。
その降雪も長続きはせず、またあたりまえではないおだやかな寒に戻りましたから「雪乞い、寒気乞い」の日々は続きます。そういうこともあり、22日になっても雪の多くない家前の様子をまた記録しておきます。
当たり前のお天気が続くことで人のくらしが円滑にまわることをのぞむのは今も昔も同じです。農に欠かせぬ「雨乞い」のおこないはその象徴でしょう。
雨乞いといえば、村人や成瀬川下流域の方々ならすぐに連想できるのが仁郷の地に流れを落とす赤滝と、その脇に鎮座する赤滝神社。(赤滝神社は、ダム工事にともない昨年解体され、今後再建される予定)
赤滝・赤滝神社といえば連想はさらにふくらみ、それはやがて「能恵姫」伝説にたどり着きます。
その「能恵姫」を軸にしながら、近郷近在の人々の伝承、社寺に保存されている遺産、菅江真澄の紀行文研究、考古学上の知などを総動員した石橋健朗氏(湯沢市)の著書「龍女の珠」-能恵姫物語の宇宙-(平成30年 イズミヤ出版)を先日読む機会がありました
赤滝と能恵姫伝説にちなんでは、平成27年に東京芸術座の俳優佐藤アズサさんと村の子どもたちによる音楽劇「能恵姫ものがたり」が上演され、昨年は、東成瀬源流コンサートで、秋田出身で元オフコースの大間ジローさん作曲、妻の美井子さん作詞の「なるせの源」という感動きわまるすばらしい歌も披露されたばかりです。
その成瀬川と皆瀬川、二つの支流はやがて雄物川を経て大海に注ぎます。その様を「なるせの源」の歌は最後に写真のような言葉で奏でます。(写真は、昨年のコンサートの際のチラシから
音楽劇「能恵姫ものがたり」にも、「なるせの源」の歌にも、そこに脈打つのは龍神と川と人々の歴史を連ねる営み。石橋さんの著書は、それらの劇と歌の背景を「心旅」するのにうってつけの言葉でちりばめられています。村の龍泉寺、赤滝神社を北斗の七つ星のひとつひとつとしてたとえた最終章の記述には「オッ」としばらくそこで目がページに釘付けとなりました。
能恵姫伝説にちなむ栗駒山麓を源とする県南の二つの流れを私たちは日々目にします。私の手元に、「ふるさと秋田の学び」という著書があります。これは県教育委員会が平成8年にふるさと教育の指導資料として刊行したものですが、その第一章二節の「過去を刻む地形・地質」で、川の流れの移り変わりの特徴事例として成瀬川と皆瀬川、雄物川をならべとりあげています。(最後の写真)
それによれば、成瀬川は皆瀬川と合流せずに横手盆地をはるか大曲までのび、成瀬川のまま雄物川に合流した過去もあると記されています。それは数万年前のことのようですが、「龍女の珠」の著書とともに二つの清流の悠久の歴史を偲ぶにはこれもまことにうれしい書籍です。