お正月ということで掛け軸の上げ下げをしたので、画のことでひとつ。写真は、我が家がふだん床の間で見ている一幅の掛け軸です。この掛け軸に描かれている画は、村内平良の菊地義之助氏(故人)によるもの。菊地氏の雅号は「彩雲」。この画は、明治時代の著名な日本画家 狩野芳崖の代表作「悲母観音」の画を模写したものとみられます。
「彩雲」を知る村内の方は「湯沢の七夕絵灯籠にも美人画を描いていた」と語ります。
画ということでは、この成瀬川流域(支流の狙半内川もふくめ)は多くの傑出した人々を輩出している土地です。
歴史を遡れば桧山台の女性の絵師・おいち(蛭川のS氏宅に、おいちの描いた屏風絵二双があると村郷土誌は記す)、狙半内の親郷肝煎・加瀬谷庄右衛門(江戸時代の画家、京の都に上り円山四条派に学んだ。雅号・東嶺)。現代では、同じく旧西成瀬村地区中村出身の漫画家矢口高雄氏(ご母堂は東成瀬村岩井川出身)、そして北欧をはじめ海外にまで多くのファンをもつわが郷土の誉れ、高橋よしひろ氏(漫画家・岩井川出身)です。根強い人気をもつ版画家の高橋功氏(椿台出身・作品の一部がまるごと自然館に展示)もおります。
世界有数の豪雪の地、成瀬川流域の美しい山河は、きっと、そういうすぐれた芸術家を産み育む豊かな土壌となっているのでしょう。